【イ・ボミのスマイル日和】Vol.12「ファンの方と食事へ行くのは“普通”でした」
イ・ボミのSmile日和
2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす!
TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki

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- 2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす! TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki イ・ボミ 1988年生まれ。15、16年賞金女王。日本ツアー21勝のレジェンド >>前回……
日韓両方のファンの存在が私を支えてくれた
ツアーに来たばかりの頃、韓国人選手である私のことを知っている人はほとんどいませんでした。そんな中でとても心強かったのが、韓国にいるファンクラブの方たちの存在でした。後に日本でもファンクラブができるのですが、そのきっかけになったのも韓国のファンの皆さんだったんです。
日韓のファンクラブは、私のプロゴルファー人生に欠かせない存在です。そもそも、どうしてファンクラブができたのか、私は長い間知らなかったのですが、先日ある韓国のファンから直接聞く機会がありました。
2007年にプロ転向して、翌年は韓国の2部ツアー(ドリームツアー)で賞金女王となり、09年からレギュラーツアーに本格参戦しました。今でも覚えているのは、ルーキーイヤーの5月のメジャー初戦「韓国女子オープン」です。初日「70」、2日目「65」と好調で、最終日を首位で迎えました。ツアー初優勝をメジャーで飾れるかもしれない大チャンス。しかし緊張からスコアを伸ばせず「74」。結果は3位、優勝は5位から猛追した(ソ・)ヒキョンオンニ(=お姉さん)でした。前年6勝の先輩の強さを痛感しましたが、私は人目をはばからず悔し涙を流しました。
その時、ある韓国のファンが「苦しそうでかわいそうだった。支えてあげたい!」と思ったそうです(笑)。最初は10人ほどでしたが、試合ごとに少しずつファンが増えて、最後は50人くらいに。そこから「ファンカフェ」というファンクラブが生まれ、ギャラリー同士のつながりも広がっていきました。当時は(キム・)ハヌルのファンクラブもあり、ちょうど“推し”文化が根付き始めた時期でもあったんです。
2010年に韓国で賞金女王になり、翌年から日本ツアーに挑戦したときは、韓国のファンの皆さんを困らせてしまいました。遠いので気軽に会場に行けなくなる寂しさがあったと思います。それでも変わらずに応援を続けてくれたことは本当にありがたかったです。
日本のファンクラブでは、初代会長の阿部(陸)さんの存在を忘れられません。私が12年の「ヨコハマタイヤPRGRレディス」で日本初優勝を飾ったとき、父が韓国にファンクラブがあることを伝え、日本でも作ってほしいと話していたそうです。よく「ファンと一緒に食事していた」ことを驚かれるのですが、確かに日本に来たばかりの頃は、地方まで応援に来てくれる数少ないファンと試合後にご飯へ行ったこともありました(笑)。無名の私のためにお金をかけて遠くまで来てくれる、その気持ちが本当にありがたかったんです。
今振り返ると、試合中の声援は本当に力になりました。日本1年目は、私がバーディを取ったときの拍手より、日本人選手がパーを取ったときの拍手のほうが大きかったんです。それは無名の外国人選手にとって当然のことだけどやっぱり寂しかった。「どうすれば日本のファンに応援してもらえるんだろう」とずっと考えていました。そんな時代があったからこそ、今、多くのファンに支えられていることを思うと、本当に感慨深いです。
今では韓国と日本のファン、そして私の家族も一緒になって、シーズンオフに年1回「忘年会」を開くようになりました。形式的なものではなく、心から感謝を伝えられる場です。人数も大所帯になり、にぎやかで楽しい時間。
そして、どうしても忘れられないのが日本で迎えた引退試合です。あの日、スタート前からギャラリーの皆さんが掲げてくれた横断幕、声をそろえての応援、ホールアウトした瞬間の雰囲気……。日本のファンクラブの方々が中心になって準備してくれた、最高の舞台でした。あの光景は、今思い出しても胸がいっぱいになります。その時のエピソードはまたじっくりお話ししたいと思います。

久しぶりの試合楽しかったです!
日本で行われた「LADY GO カップ」に参加しました。久しぶりの試合で前日のプロアマはとても緊張したのですが、試合は楽しくできました。真剣勝負はやっぱり楽しいです!
月刊ゴルフダイジェスト2025年12月号より


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