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【江連忠のPROJECT E】Vol.263 森口祐子「体を100%使い切るのに力みがない」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、GD写真部

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●今月のレジェンド●

森口祐子

1955年生まれ富山県出身。高校3年からゴルフを始め、わずか1年半でプロテスト合格。通算41勝の永久シード選手で2019年日本ゴルフ殿堂入り。“ママさんプレーヤー”のパイオニアでもある


振っても曲がらない
技術と自信があった

いまは解説者としてお馴染みの森口さんですが、選手としてもとても偉大な方です。

一度も賞金女王にはなっていないにもかかわらず、通算41勝という勝ち星は長く安定して高レベルなプレーをしていた証拠。

しかも出産・育児でツアーを離れる時期がありながら、その後に18勝もしていることは本当に尊敬に値します。


その活躍を支えていたのは身体能力の高さだと思います。女性には珍しいくらい全身のパワーを使い切って振るスウィングは、尾崎直道さんを彷彿とさせます。

そしてこれだけ振ってもバランスが崩れない体幹の強さと、どこにも無駄な力みがなく柔軟性も兼ね備えているところが見事です。

例えば岡本綾子さんは80%くらいの余裕のあるスウィングでボールを操るタイプでしたが、森口さんは100%出し切ってエネルギーがほとばしっています。

振り切る勇気と、振っても曲がらない技術と自信があったということで、見応えのあるスウィングです。

クラブを置いていくようなテークバックは体で上げている証拠

上の連続写真のひとコマ目はすでに右への体重移動を開始しているがヘッドは地面に残っている。手ではなく体でクラブを上げるテークバックは再現性が高くなる

森口裕子の系譜を継ぐのはこの選手

西郷真央

体幹が強いから全身で振り切ってもフラつかない
100%のパワーを出し切っているように見えるところや、それを支える体幹の強さとバランスの良さが共通項。西郷はより軸が太くてキレがあるのが特徴

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2025年9月号より