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【スウィング研究】小祝さくら「安定した下半身と脱力した上半身が飛んで曲がらない秘訣」

いま注目すべきスウィングを、連続写真で徹底分析。今回取り上げるのは、7年連続で優勝を挙げ、今季トップ10入り11回という安定した強さを誇る小祝さくら。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa

小祝さくら 2017年プロテスト合格(JLPGA89期生)。7月の明治安田レディスで通算12勝目。2019年から現役選手唯一の7年連続優勝。年齢を重ねて安定感がさらに高まっている

解説/南秀樹
木村彩子などを指導しながら香川県で3.7.3ゴルフアカデミーを主宰。ジュニア育成に定評があり、これまで多くのプロを輩出してきた

どしっとした下半身
力感のない上半身

「ショットの安定感は今年も抜群。現在の女子ツアーのなかでも群を抜いたショットメーカーです。若い頃から積み上げてきた基礎がしっかりしているので、調子が悪くても、大きく崩れずに常に上位にいられるのだと思います。


なんといっても素晴らしいのが下半身の安定感。体の中にクラブが収まったアドレスは自然体で力みがありません。バックスウィングは肩の回転でクラブを上げながら右の股関節を入れていき、捻転差を作っています。右の股関節を引く動きの時も右ひざを我慢している様子はなく、大きな体重移動もありません。ここで見てほしいのが左ひざの動き。下半身がどしっとしている選手は、通常左ひざが内側に入ってくる選手は少ないのですが、彼女は左ひざが動きます。ただし、右ひざとの間隔はアドレスから全く変わらない。それは右の股関節を後ろに引きながら回しているからです。

トップから下半身始動で切り返しますが、上半身は脱力した状態で手はストンと下に落とすだけ。肩や腕に力が入らないので切り返しで首が長く見えます。切り返す瞬間の動きも非常に上手いと感じます。ダウンスウィングで右手首のタメをうまく作っていき、右ひじを曲げたままインパクト。右ひじを曲げたままなので、フォローに向けてパワーを使うことができ、修正が利くのでコントロールもしやすい。

インパクトでも、上半身はアドレスと同じように力んでいないため、フォローで左の踏み込みができてクラブを大きく振っていくことができる。フォローは以前より左に出てフィニッシュのシャフトの傾きが横になりましたが、これは肩の回転が自然に使えている証拠で、これによってラインを出しやすくなり、セカンドショットも安定します。飛ばしと安定を両立したスウィングで完成度が高いので、長く活躍できると思います」

小祝さくらの1Wスウィング(正面)

小祝さくらの1Wスウィング(後方)

週刊ゴルフダイジェスト2025年8月12日号より
※スタッツは7月23日現在