全英オープンが「The Open」(ジ・オープン)と呼ばれる理由 【明日使えるゴルフ用語】
普段当たり前のように使っているゴルフ用語だが、その成り立ちや意味を問われたときに、正しく返せるだろうか? ここではラウンド中の会話やゴルフ仲間とのやりとりで使える、ゴルフ用語にまつわるうんちくを紹介する。

全英オープン【The Open】
PGAツアーのメジャー最終戦「全英オープン」。英語では「British Open」と呼ばれるが、「The Open」(ジ・オープン)という呼称も用いられる。この呼び方には、ゴルフの本場・英国ならではの誇りと歴史が込められている。
英語の定冠詞「the」は、「話し手と聞き手の間で特定できるもの」につく。たとえば「a man」は「ある男性」という意味だが、「the man」は「その男性」「あの人」と、特定の存在になる。そのように考えると、「The Open」は、「他でもない、これこそが“オープン選手権”」というニュアンスとなり、「オープンチャンピオンシップといえば、この大会しかない」という、英国人の強い自負と揺るぎない位置づけを表した呼び名と言えるのである。
それもそのはず、「全英オープン」は世界最古のゴルフトーナメント。第1回開催は1860年にまでさかのぼる。これは、現在の4大メジャーの中でも最も古く、アメリカで開催される全米オープン(1895年創設)より35年も前から続く由緒ある大会だ。
当初は、スコットランドのプレストウィック・ゴルフクラブでわずか8人の選手によって行われたが、時代とともに世界中のトッププレーヤーが集う、文字通り「世界一権威あるオープン選手権」へと成長した。その間、スコットランド、イングランド、アイルランドの名門リンクスコースで舞台を移しながら、伝統と格式を守り続けている。
さらに、「全英オープン」は、単なる“イギリスのナショナルオープン”ではない。この大会は国を超えた存在であり、すべてのゴルファーに門戸が開かれた「真の意味でのオープン」。この姿勢こそが、「The Open」たる所以でもある。
選手だけでなく、観客やメディアにとっても「The Open」は特別だ。風が強く、芝が硬いリンクスコースでのプレーは、選手たちの技術や戦略に加えて、自然との対話が求められる。だからこそ、他のメジャーとは一線を画す独自のドラマが生まれるのだ。
このように「The Open」と呼ばれることには、単なる略称以上の意味が込められている。それは、ゴルフの聖地から発信される“唯一無二”の大会という証。伝統を重んじるイギリス人の矜持と、世界中のゴルファーがリスペクトを寄せる理由が、この「The」という3文字に凝縮されているのである。
今年も名だたる選手たちが、この称号をめぐって熱戦を繰り広げる。世界が注目する「The Open」。その意味を知れば、ますますこの大会が特別なものに感じられるはずだ。


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