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【スウィング研究】菅沼菜々「トップまでは独特だが、インパクトゾーンの動きは理想的」

いま注目すべきスウィングを、連続写真で徹底分析。今回取り上げるのは、昨季無念のシード落ちを喫しながら、限られた試合で5月に復活優勝を果たした菅沼菜々。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki

菅沼菜々 2018年プロテスト合格(90期生)。2020-21年シーズンに初シード獲得。2023年初優勝を含む2勝。昨季シードを落とすが、今季のパナソニックオープンレディースで3勝目

解説/今野康晴
日本ツアー7勝、2005年ゴルフ日本シリーズでメジャー優勝。現在はアマチュアのレッスンを行い、女子プロの吉田鈴をアマチュア時代から指導しプロへ導いた

頭の位置や軸が変わらない
天性のバランス感覚

初優勝を含め年間2勝を果たした23年シーズンから一転、昨シーズンは浮上のきっかけをつかめずシード落ちを経験。年末のQTも失敗してしまい、今季は開幕からの出場試合が限られていたが、5月のパナソニックオープンレディースで復活優勝。先日のアース・モンダミンカップでも2位に入り、完全復活を印象付けた。そんな菅沼のドライバースウィングを今野康晴プロに解説してもらった。


「アドレスから左足重心で構えています。バックスウィングは右に傾きながらクラブを上げていくのが一般的ですが、菅沼選手の場合は、左足に重心を残したままトップまで上げていき、トップでは背骨が左に傾くほど左足重心です。左軸で打つ意識がはっきりしていますが、左肩の動きが素晴らしく、これが大きな捻転と軸の安定を生んでいます。このように動くと、普通であればインパクトで右サイドが戻り切らないのですが、彼女はうまく体を動かすことでアドレスと同じ右肩の高さを保ち、アッパー軌道でインパクトしています。トップまでの動きは独特ですが、インパクト直前からフォローまでの動きだけを見ればものすごく理想的なクラブの動きで、身体のバランス感覚の鋭さを感じます。

ドライバーでこのスウィングは独特と言えますが、アイアンで考えるとすごくいい動き。恐らく彼女はドライバーとアイアンでスウィングの区別をしておらず、全てのショットを同じスウィングで打ちたいのだと思います。考え方としてはとてもシンプルで再現性の高さにもつながります。

昨年は不調でしたが、それはトップの形ばかりを気にして修正しようとしたことで本来持っているインパクトの上手さを消してしまっていたからでしょう。頭の位置や軸が変わらない動きは天性と言えますが、彼女の持っている感覚で打てば球は安定するはず。その感覚を取り戻したことが、復調の要因だと思います」

菅沼菜々の1Wスウィング(正面)

菅沼菜々の1Wスウィング(後方)

週刊ゴルフダイジェスト2025年7月22日号より