【名手の名言】ジャック・ニクラス「ほとんどのゴルファーは、力は大きなバックスウィングによって生まれる、という勘違いをしている」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は“帝王”ことジャック・ニクラスの含蓄のある言葉を2つご紹介!

ほとんどのゴルファーは
力は大きなバックスウィングによって
生まれるという
勘違いをしている
ジャック・ニクラス
ゴルフスウィングにおいては、例えば重量上げのような「力」は不要である。
必要なのはクラブをムチのように振るという「振り切り」のスピードである。そこにはむしろ力は邪魔で、脱力したほうが飛ぶというのはほとんどのゴルファーが経験済みであろう。
ニクラスは子供の頃から神童と呼ばれ、プロ入りしたときからビッグドライブで、ギャラリーの度肝を抜いた。タイガー・ウッズの出現と同じだ。パワーゴルフの到来である。それにニクラスは太っちょでもあったから、いかにも力のみで打っているという印象を抱かれたのである。
それに対抗する意味と、むろんゴルフの本質はそうじゃないとの諭しの意味から、冒頭のような言葉を残したのであろう。
君のプレーは
チャンピオンにふさわしい
素晴らしいゴルフだった。
しかし私もこの試合は勝ちたかったんだ
ジャック・ニクラス
1980年、バルタスロールCCで行われた全米オープン、最終日は驚きと好奇で騒然としていた。
東洋の“片田舎”から出てきたあんちゃん風の男が、時の帝王・ニクラスとがっぷり四つに組んで、一歩も引けをとらなかったからだ。
その男の名は、青木功。選手紹介されるアナウンスも「ISAO AOKI」と発音できずに、「ISEO EOKI」と。それほど米ツアーでは認識されていなかった。
そんな男が4日間、帝王と同じ組で回り、あわやという場面を演出したのである。
一方、ニクラスもデビュー以来、毎年勝ち星をあげていたのが、78年に勝ってからまる1年勝利がなく、帝王の落日が噂されていた。ニクラスとしても、負けるわけにはいかなかったのだ。
ニクラスは“ジャック・イズ・バック”と熱狂するギャラリーにこたえ、2打差で青木を振り切り16個目のメジャータイトルを手にした。試合後、帝王は青木のアプローチを「100ヤード以内なら世界一」と讃えた。
青木は「勝たなくてよかった。勝っていたらギャラリーに殺されていたよ」と半分本気のジョークを飛ばして笑った。
■ジャック・ニクラス(1940年~)
米オハイオ州生まれ。10歳でゴルフを覚え、12歳から5年連続で州ジュニア選手権に優勝し、神童と呼ばれる。その後全米アマを2度制し、61年にプロ入りした。その翌年、全米オープンに優勝するが、当時のヒーロー、アーノルド・パーマーを破っての勝利と太めの体格のためか、敵役となる。その後巨漢からスリムへ、GIカットから長髪へイメージチェンジを果たし、帝王と呼ばれるようになる。ツアー73勝、メジャー18勝。メジャーでの2位も19回と圧倒的。グランドスラマーであり、殿堂入りも果たした、20世紀最高のゴルファーである。
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