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【江連忠のPROJECT E】Vol.261 杉原輝雄「曲がらないスウィングの究極形」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/オーシャンリンクス宮古島

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●今月のレジェンド●

杉原輝雄

1937年大阪府生まれ。通算65勝(73年のツアー制施行後は28勝)。日本ツアーの最年長予選通過記録(68歳)や同一大会51年連続出場の世界記録を持つ


パッティングの延長の
ようなスウィング

160cmという小柄な体だったせいで、おそらくプロゴルファーで一番飛ばなかった杉原さん。そのハンディを“究極の曲がらないショット”で補っていました。

同組の飛ばし屋がショートアイアンで打つ2打目を、はるか後ろからFWでピンに寄せていく姿は特に印象的で、“マムシの杉原”と呼ばれるのも納得でした。


飛距離を諦める代わりに方向性を求めたことが、スウィングに表れています。

両ひざは左右に大きく動きますが、右かかとはインパクトまで上がらないベタ足。目線が水平で上体に力みはなく、トップはコンパクトで長いインパクトゾーンなど、真っすぐ打つための要素が満載です。

なかでも個性的なのが左ひじの抜き方。インパクト前後で左ひじを曲げたまま抜くため、肩と両腕が五角形になっています。これがフェース面をスクエアに保ち、曲がらないショットの最大の要因になっていました。“フェアウェイの運び屋”という異名がピッタリのスウィングです。

ジャンボ尾崎に勝つためにFWを徹底的に磨いた

ジャンボ尾崎の飛距離に驚愕し、ドライバーでは勝負にならないからとFWを“鬼のように”練習して(“練習の鬼”の異名も持つ)強力な武器にした。どんなにティーショットで突き放しても、後方からFWでピンに絡めてくる杉原は、ジャンボが唯一舌を巻いた選手だと言われている

常に走りながらティーやゴミを拾っていた

一番飛ばないので2打目は最初に打つことになり、いつもティーイングエリアを駆け降りていた。その姿は70歳を過ぎても変わらなかった

杉原輝雄の系譜を継ぐのはこの2選手

リー・ウエストウッド

今平周吾

左ひじを抜きながらフェース面を真っすぐ保つ
インパクト前後で肩と両腕が五角形になっていて、その間フェース面はスクエアに保たれる。この左ひじは引けているわけではなく、無理して伸ばさずに抜いているだけ。頭が残る時間が長いのも共通点

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2025年7月号より