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【スウィング研究】古江彩佳「リストワークを抑えパワーではなく“技術”で飛ばす」

いま注目すべきスウィングを、連続写真で徹底分析。今回取り上げるのは、昨年のエビアン選手権でメジャーチャンピオンとなった古江彩佳。

解説/横田英治
PHOTO/Tadashi Anezaki 撮影トーナメント/2025年ホンダLPGAタイランド

古江彩佳 2019年富士通レディースでアマ優勝達成。国内8勝。2022年から米国を主戦場にし、昨年エビアン選手権でメジャー優勝。LPGA通算2勝

リストワークを使わず
大きなスウィングアークで飛ばす

153センチの小柄な体格で平均飛距離は250ヤード程度。270ヤード超えの選手も多いLPGAにあって、飛距離ではなく精度の高いショット力と巧みなマネジメント力を武器に、昨年のエビアン選手権を制しメジャーチャンピオンとなった古江。ショット精度の高さについて、多くのゴルファーを指導する横田英治プロに解説してもらった。

「使うクラブは『絶対に右に行かせない』という意思を感じさせるセッティングで、本人自身はインサイドアウトで右に打ち出すだけという感覚だと思います。だから勝負どころの緊張する場面でも、自信をもって攻めていけるのでしょう。


一世代前までのドローヒッターといえば、スウィング中に体の一部分を止め、タメを作ってボールをつかまえる打ち方が主流でした。しかし、今回の古江選手や山下美夢有選手などは、スウィング中に体の回転を止めずにドローボールを打ちます。これは最近の、特に女子トップ選手に多いトレンドです。

古江選手の最大の特徴はリストワークが極端に小さいこと。リストターンの動きが少ないメリットは2つあります。1つはスウィングアークが大きくなること。ハーフウェイバックからトップまでの手の位置を見てほしいのですが、手が体からかなり遠い位置を通って、高い位置にトップを収めています。アークが大きくなると、クラブの助走距離が長くなるので、パワーに頼らずに最大限の飛距離を得ることができます。体の強さやヘッドスピードではなく、スウィングにおける技術面で少しでも飛距離を伸ばそうとしているのでしょう。

もう1つは、リストターンを使わないことで入射角が緩やかになってフェースアングルが安定している点です。このメリットによって方向性の精度が高まります。加えてスウィング中の重心コントロールがとても上手く、これもラインを出す精度と再現性を一層高めています」

古江彩佳の1Wスウィング(正面)

古江彩佳の1Wスウィング(後方)

週刊ゴルフダイジェスト2025年6月3日号より