オーガスタの風は“悪魔的”。自己ワーストのデシャンボー、次なる課題は?
松山英樹が歴史的勝利を飾ったマスターズ。優勝候補のひとりだったブライソン・デシャンボーはオーガスタを力づくでねじ伏せることに失敗。過去ワーストの成績に終わり戦略変更を求められた。
昨年11月のマスターズでは「自分にとってオーガスタはパー67のコース。すべてのパー5で2オンできるし、パー4は3分の1がワンオン可能」と豪語し「いくらなんでも傲慢では?」と批判された。
終わってみれば優勝したダスティン・ジョンソンに18打差の34位。「オーガスタは科学や数学の方程式じゃ解けない」と揶揄された。
ビッグマウスを慎しんだ彼が今回の大会前に口にしたセリフが「このコースはよく分からない」「ここを攻略するにはさまざまな要素をクリアしなければならない。特に風の厄介さは悪魔的。フォローだと思ったらアゲンストだったり、木立の隙間はまた微妙に風向きが変わったり。それを解明するのは難しい。もっとこの状況に慣れなければ」
今回も初日76を叩いて出遅れ、2日目67で盛り返したが最終的にはマスターズの自己ワースト46位タイに終わった。いまだローアマを獲った16年の21位タイが彼にとってのマスターズベストフィニッシュだ。
練習場でデシャンボーが球を打っていると人だかりができる。オーガスタでもビジェイ・シンが興味深げにデシャンボーのドライバーショットを見ては首を振り「まじか?」の表情を見せていた。
だが本人は「オーガスタは飛距離だけで攻略できるわけじゃないというのを痛感した。大事なのはセカンドショットの精度であり、サードショットの精度。そしてなにより1、2メートルのパーパットを確実に沈めること」
オーガスタでは理論武装できず「丸腰で戦っている気がする」というデシャンボー。気持ちを切り替え、次メジャー、5月20日からの全米プロに照準を合わせている。
週刊ゴルフダイジェスト2021年5月11・18日合併号より