【インタビュー】佐久間朱莉「“データ”を取りながらアプローチを徹底的に練習しました!」

24年は2位3度、トップ10が14回、メルセデスランキング8位と、未勝利ながら女子ツアーを牽引する佐久間朱莉。悲願の初優勝を目指し、今オフはトレーニングや練習に励んだ。アリゾナ合宿を終え、宮崎で開幕前の調整を行っていた佐久間を直撃!
PHOTO/Osamu Hoshikawa THANKS/トム・ワトソンGC、フェニックスゴルフアカデミー

「ちっちゃくたって、球は飛ぶ!
その概念をジャンボさんに教わった」
――昨年はスタジオアリスやサロンパスカップなど、何度も優勝争いしました。今年の目標は?
佐久間 初優勝です。
――それを目指して1月からアリゾナ合宿。インスタでトレーニングやアプローチの写真を見ました。
佐久間 まずはケガをしない体作りです。ここ2、3年はトレーナーさんをつけて、トレーニングを一生懸命やり始めていたんです。去年の後半戦から現地に来てくれるトレーナーさんをつけて、試合期間中でもトレーニングできるようになったり、食事管理もできるようになりました。去年は初めて1年間体重が落ちずに戦えたので、後半戦も結果を出せるようになりました。夏とかはとくに意識的に食べないとどんどん痩せてっちゃって。疲労も溜まるし、痩せるから飛ばなくなるという悪循環。暑くても食べることを最優先にして、でもストレスになりすぎないように食事に気をつけるようにしたんです。
――食事管理とトレーニングが大きく変わったんですね。
佐久間 アリゾナでは、その日のゴルフの調子に合わせてメニューを変えてくれていました。基本は体幹とか下半身とかも多かったんですけど、私は股関節が硬いのでその可動域だったり、肩甲骨の可動域を広げる要素を入れたトレーニングをしました。ショートゲーム強化っていうのが一番にあって、とくに30、40ヤードのアプローチがあまり好きじゃなくて、昨シーズンちょっとそれで取りこぼしたなっていう印象があったので、アプローチを徹底的にやりました。毎日データを取りながらです。
――アプローチのデータ?
佐久間 毎日、日によってヤードは変えてたんです。20ヤードから40ヤードを5ヤード刻みにコーンを5個置いて、1球ずつ順番に距離を伸ばしていく練習ではなくて、1球1球違うコーンを狙うんです。20、25、30、35ヤードだと、結構プロって打てて、5ヤード刻みの感覚は出せるけど、距離をランダムに変えていくとミスが出やすくなるんです。何ヤードが苦手なのかっていうデータを取って、その距離を何回も連続でやって、またデータを取り直す。距離のブレを小さくする練習です。
――最初苦手だった距離は?
佐久間 30と35が苦手で。しっかり打てれば距離を合わせられても、30は中途半端な距離で、苦手でした。それからコーンを狙ってやる練習と実際カップ(グリーン)に行ってキャリーを確認しながらの練習も繰り返し行いました。
スタジオアリスで優勝を争った仲良しの阿部未悠と宮崎で開幕前の調整を行った

――2月に尾崎健夫プロや飯合肇プロほか、みんな佐久間プロの体が大きくなったと話していました。ジャンボ尾崎プロのところに入ったきっかけは?
佐久間 ジャンボさんがジュニアの育成に力に入れていてまだアカデミーができる前の中3のときに声をかけてくださって、そこからです。まだ220Yぐらいしか飛ばなくて、もう本当に飛ばない。自分のなかでは背がちっちゃい人はこんなもんだっていうイメージがあったんですけど、その概念を変えてくれたのはジャンボさん。体の基礎からしっかりトレーニングしよう、そうじゃないと球は飛ばない。体の使い方が上手くないと飛ばない、そういう基礎的なところから教えていただいたので、それが今になってすごい飛ぶようになりました。あの時、素振りをしっかり頑張ったから、飛距離も伸びてきて、私もちっちゃいながらにがんばれる力が身についたんです。
――体の大きさのハンディをどう克服すればいいと?
佐久間 体の使い方です。基礎的なものを作り上げていって、体の使い方が上手くなったんです。以前は一生懸命“手”でがんばっていて。「振る」イコール「手を速く振る」っていうイメージだったんですけど、そうじゃなくて、“体全体”を使えるようなスウィングになったかなと思います。

得意なクラブは一番練習した8番アイアンで好きなクラブはUTの5番だという佐久間。ドライバーはピンの小ぶりなヘッドと日本シャフトのシャフトがベストマッチでお気に入り
佐久間朱莉のUTスウィング
週刊ゴルフダイジェスト2025年3月18日号より