49歳でQTトップ通過! 海老根文博のゴルフ<前編>「欲張らなくなって雑念が消えました」
これまでツアー優勝どころかシード権も獲得したことがない選手がQTトップ通過。それが勢いのある若手ならまだしも49歳というから驚きだ。一体何がキッカケでどんな変化があって開花したのか。興味深い彼のゴルフを深掘りした。
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/サザンヤードCC、ロイヤルグリーン水戸
海老根文博 えびね・ふみひろ。1975年2月9日生まれ、茨城県出身
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- 昨年のQTで若者たちを相手にトップ通過を果たした海老根文博・49歳。これまで一度もシードを獲得したことのなかった選手にいったい何があったのか。後編ではスウィング面の気づきについて教えてもらった。 TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/サザンヤードCC、ロイヤルグリーン水戸 海老根文博 えびね・ふみひろ。1975年……
肉体改造とクラブ変更が
ピッタリはまった
プロ生活27年間はレギュラーツアーと下部ツアーの掛け持ち生活。どちらでも目立った成績は残せていなかった。そんな49歳が突然レベルアップした要因は、心・技・体それぞれにあるようだ。
「24年はレギュラーツアーにはほとんど出られなかったので自分を見つめ直す時間がありました。これまでは試合が忙しくてハードなトレーニングはできなかったけど、体をしっかり作り直そうとジムに通って自分を追い込むことができたんです。もともとは筋肉の少ない体でしたが、やっていくうちに腕や脚が太くなって胸板も厚くなって、そうしたらヘッドスピードが3m/sくらい上がりました」
とはいえ特別なトレーニングをしたわけではなく、ごく一般的な筋トレと、ジムに行けない日は1時間のジョギングを欠かさなかっただけという。
それと同時にクラブチェンジも功を奏したようだ。
「タイトリストはパワーヒッター向けのハードなクラブというイメージでしたが、クラブ契約がフリーになって試しに打ってみたら感触がすごく良くて。無理に球を上げようとしなくても打ち出しが高くなるし、狙った通りの球が出てくれるんです。筋トレとクラブのおかげで飛距離が20Y伸びたし、フェアウェイキープ率も上がりました。QTでも若い子たちに置いていかれることなく食らい付いていけたのは大きかったですね」
「ドライバーは飛距離が20Y伸びました」
ドライバーはタイトリストのTSR3(10度)にツアーADのHD-6(S、45.75インチ)を装着。「打ち出し角が高いから無理にアッパーブローに振らなくてもよくなりました。タイトリストはハードというのは思い込みでした」
“結果”ではなく“体に対して”欲張らない
さらに内面の変化も大きく、100点のショットを狙わなくなったという。とはいっても、80点でいいと思えばリラックスして打てるというよくある話ではなく、もう少し奥が深い。
「誰でも日によって体調が違うと思いますが、その日の体調に合わせてどう体を動かせばいいかということがわかってきたんです。若い頃はいつでもベストスウィングをしようとしていたけど、いまは欲張らずに“身の丈に合った”ゴルフになりました」
結果に対して欲張らないのではなく、自分の体に対して欲張らなくなったことで、かえって結果が良くなったのだ。
「きっとトップ選手はみんなできていることなんでしょうけど、僕はこの歳になってやっとわかりました(笑)。欲張らないから雑念が消えて、そうすると体の反応も良くなるんです」
林由郎に上から打ち込む基礎を教わった
研修生をしていた水戸グリーンCCに月に2回林由郎が訪れ、球を上からとらえることを教わった。「それが僕のゴルフの基礎になっています」
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- 昨年のQTで若者たちを相手にトップ通過を果たした海老根文博・49歳。これまで一度もシードを獲得したことのなかった選手にいったい何があったのか。後編ではスウィング面の気づきについて教えてもらった。 TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/サザンヤードCC、ロイヤルグリーン水戸 海老根文博 えびね・ふみひろ。1975年……
月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より