【PGAツアーエキスプレス】Vol.44 圧倒的な数字が示すスコッティ・シェフラーの強さ
ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第44回は、2024年圧倒的な強さを誇ったスコッティ・シェフラーの記録を振り返る。
PHOTO/Getty Images 取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)
シェフラー1強時代は
このまま続くのか?
2025年の開幕戦、ザ・セントリーで松山英樹が優勝を飾り、幸先のいいスタートを切った。今年は『松山の年』を予感させるプレーぶりだったが、昨年はシェフラーの年だったと言って異論はないだろう。昨年12月、ジャック・ニクラス賞を3年連続で受賞。これはタイガー・ウッズとシェフラー、2人だけしか成し得ていない偉業だ。さらに、同じ年にザ・プレーヤーズ選手権、マスターズ、ツアー選手権を制したのは史上初の快挙であり、1年の大半をフェデックスカップトップで過ごし、13大会連続トップ20入りという記録も作った。これ以外にも数々の記録を作った。彼がいかにすごかったのか、記録とともに振り返ってみよう。
まずは優勝回数。PGAツアーで7勝は2007年のタイガー以来の最多記録である。PGA非公認であるが、ヒーローワールドチャレンジとパリ五輪の金メダルを合わせるとなんと9勝を挙げたことになる。この勝利数を世界ランク2位のザンダー・シャウフェレと比較すると、彼はメジャー2勝という快挙を達成したものの、通算勝利数が10勝。これを見ればシェフラーがどれだけすごいかがわかるだろう。
平均ストロークも注目すべき数字だ。シェフラーの昨年の平均ストローク68.01は、タイガーやミケルソン、マキロイなどの偉大なプレーヤーが残してきた数字よりも低い。PGAツアー全体の平均ストロークが70.29であることを考えると、単純にシェフラーは1日2打、4日間で8打の差をつけた計算になる。
昨年は世界ランキングトップの座を守り続けた。2023年にトップに立ってから1回も譲らず現在に至る。世界ランキングトップの在籍期間はマキロイを抜いて歴代4位。歴代トップのタイガーと2位のグレッグ・ノーマンの記録はまだ遠いものの、年内にはダスティン・ジョンソンの記録も抜くだろう。それも昨年の活躍が圧倒的だったからで、この状況を変えるにはシャウフェレかマキロイが驚異的な活躍をするしかない。
強い選手の共通点として当たり前であるが“バーディが多くボギーが少ない”ことが挙げられる。この単純な数字を見るだけでもシェフラーの強さは垣間見える。1ラウンドあたりのバーディ数は4.88でツアートップ、ボギー数はシャウフェレに次いで2番目に少ない。これはバーディを奪うためにはリスクを冒さなければいけないゆえボギーが多くなる、という理論に反するものだ。シーズン通算239アンダーも、もちろんダントツ。どれだけ彼がすごい活躍をしたか納得いただけただろうか?
シェフラーの強さはやっぱり「ショット力」
トータルバランスに優れているプレーヤーであるが、アイアンショットの精度が群を抜いている。世界ナンバー1たるゆえんだ
第1子誕生でプライベートも充実
昨年の5月に第1子となる息子が誕生。出産に立ち会うため、たとえメジャーであっても欠場する意思を表明していた
月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より
※本文の一部を誌面では「平気ストローク」と表記しておりましたが、正しくは「平均ストローク」です。お詫びとともにここに訂正いたします。