【新春ワイド特集2025】PGAとLIVの統合はどうなった? 藤田寛之は米シニアのシード獲得!
ここ最近の国内外のゴルフ界には新しい流れが確実に起きているようだ。そしてその流れは、一時的なものではなく男子、女子にかかわらず、しっかりと根付いている。そんなゴルフ界の“ニューウェーブ”について、恒例の小誌ご意見番、タケ小山、内藤雄士の両プロに語ってもらった。
PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Takanori Miki、Yasuhiro JJ Tanabe、Blue Sky Photos、Getty Images
タケ小山(左)……世界中のツアーに精通するプロ。TBS「サンデーモーニング」の解説者としてもお馴染み。小誌で「世界パトロール」を連載中
内藤雄士(右)……丸山茂樹のコーチとしてともに米ツアーを戦ったティーチングプロ。日本大学ゴルフ部コーチも務める。ハイランドセンター代表
●CONTENTS●
1. 米女子ツアー、ジェンダーポリシー再変更
2. 米女子ツアー最終予選に過去最多5人合格
3. 2025年PGAツアーに5人の日本人が参戦
4. PGAとLIVの統合はどうなった?
5. ミニドラブームと軟鉄鍛造アイアン回帰
交渉期限から1年経過しても進まない
PGAとLIVの統合はどうなるのか!?
――さて男子ツアーの新しい流れとしては、アジアンツアーも取り上げたいと思っているんですが、世界的にかなり注目されるツアーになってきましたね。
タケ PIF(パブリック・インベストメント・ファンド/サウジアラビアの政府系ファンド)からの投資がすごいんだよね。
――はい。10年間で450億円ですから。正確に言うとPIFが出資して作った「LIVゴルフインベストメンツ」がアジアンツアーに投資して、賞金額が高いインターナショナルシリーズを年間10試合開催しています。
内藤 「アジアサーキット」と呼ばれていた時代とは様変わりしましたね。
タケ 昔は最終戦が日本のダンロップインターナショナルで、賞金王になると日本ツアーのシードがもらえたんだよね。
――現在はインターナショナルシリーズで年間1位になるとLIVゴルフの出場権がもらえます。
内藤 LIVの賞金はすごいですよね。フル参戦すれば、全部最下位でも2億円は確約されるわけでしょう。日本ツアーの賞金王より多いんですから。
タケ 実際にフル参戦を果たした香妻陣一朗の獲得賞金は3億円超えたからね。そりゃあLIVで稼ぎたいというゴルファーは世界中にたくさんいると思うよ。アジアンツアーもLIVの選手がいっぱい出ているしね。賞金も上がっているわけでしょう。
――アジアンツアーの賞金総額は日本ツアーを超えています。世界ランキングの獲得ポイントでももはやアジアンツアーのほうが上ですからね。24年1月のアジアンツアーのQTファイナルには、日本から23選手が参戦しました。そのなかでも2位で通過した生源寺龍憲選手は日本とアジアンの両ツアーでシード権を獲得しています。これもニューウェーブですね。
タケ しかし、LIVとPGAツアーの交渉は一向に進まないね。最初は23年末が交渉期限と言っていたのに、そこから1年が過ぎてもまだまとまらない。そういえば、本誌でノーマンにインタビューしていたじゃない?
――衝撃の発言でした。ノーマンは最初からLIVとPGAの統合の話なんてない、PIFがPGAに投資するという話が間違ってメディアに伝わっていると言っていました。統合はあり得ないとまで言っていましたね。
タケ LIVは25年に初めて韓国で開催するんだよね。
――そうです。しかも韓国のチャン・ユビンが米ツアーのQTファイナルへの出場を取りやめて、LIV参戦を発表しました。
タケ 韓国はLIVに乗ったわけだ。韓国は女子ツアーも賞金が増えて盛況みたいだからね。
「統合の話なんて最初からない」
ノーマンは小誌のインタビューで「PGAツアーとLIVの統合はあり得ない。PIFがPGAツアーに投資する話題が統合という間違った報道になっただけ」と爆弾発言
2025年にLIVゴルフは韓国で開催!
LIVゴルフでは25年シーズンの前半の日程を発表しているが、そのなかには初開催となる韓国での大会が含まれている。また22歳の賞金王チャン・ユビンの参戦も発表された
米シニア出場権を獲得!
藤田寛之の挑戦
――最後の話題はシニアツアーのニューウェーブとして、藤田寛之選手のPGAツアーチャンピオンズへの参戦を取り上げたいと思います。24年の全米シニアオープンで2位に入り、日本の“おじさん”たちに夢を与えたと思いますが、プレーオフシリーズで上位に入って25年シーズンの米シニアツアーの出場権も獲得しました。
タケ 素晴らしいよね。
内藤 これって本当にゴルフの素晴らしいところだと思うんです。だって50歳を過ぎて世界の舞台で活躍するという夢を見られるスポーツって、ほかにあまりないと思うんですよね。
タケ そうだね。
内藤 QTに挑戦していた宮本勝昌選手は残念でしたが。
タケ 枠が狭いからね。たった5枠しかないんだもん。でもしょうがないよね。もともと米シニアツアーはパーマーがシニア入りするときにできて、往年の名選手のプレーを見せるエンターテインメントがコンセプト。だから“チャンピオンズ”という名前だしね。それにしても最近のおじさんたちは元気だね。
内藤 ひと昔前の60歳と今の60歳は違いますよね。先日ゴルフメーカーのイベントで海老原清治さんにお会いしたんですが、75歳とは思えないくらい“マン振り”していましたから。飛ばすんですよ、びっくりするくらい。
タケ 海老原さんと奥田靖己さんの2人はとくに元気だよね。藤田選手にも頑張ってもらいたいね!
全米シニアOPで2位!
プレーオフシリーズで来期の出場権獲得
24年の全米シニアオープン、最終日をトップで迎え首位を走っていた藤田寛之。悪天候で順延された翌日にプレーオフで惜しくも敗れたが、その後米シニアツアーの出場権を手にした
週刊ゴルフダイジェスト2025年1月7・14日合併号より