【江連忠のPROJECT E】Vol.255 リサロッテ・ノイマン「強さと柔らかさを兼ね備えたアスリート」
片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa THANKS/オーシャンリンクス宮古島
●今月のレジェンド●
リサロッテ・ノイマン
1966年スウェーデン生まれ。アニカ・ソレンスタムに大きな影響を与えスウェーデンをゴルフ強豪国へ押し上げた立役者。米国13勝、日本5勝。170cm
コンパクトトップでも
フォローが大きければ飛ぶ
若いゴルファーは知らない人もいるかもしれませんが、ノイマンは僕が若い頃に憧れていた格好良い女性アスリート。
デビューした年にいきなり全米女子オープンで優勝して一躍人気になりました。僕がジム・マクリーンのところにいたときによく練習に来ていましたが、とにかくスウィングのキレと溢れ出るオーラが強く印象に残っています。
長身と手足の長さを生かしたパワフルなスウィングはまさにアスリート系ですが、フォローの大きさと柔らかさには女性特有の雰囲気もあります。
バックスウィングには少し硬さがありトップのクラブの位置はかなりコンパクトですが、遠心力を生かしているからこれだけ大きなフォローになるのです。
現代の選手には見られないくらいダウンスウィング時の左へのシフトが大きく、当時の重いパーシモンではこれくらい体を使わないと速く振れなかったという側面があります。
どうしても右に体重が残ってしまうアマチュアは、ノイマンのイメージで打つといいかもしれません。
遠心力を使うからフォローが大きくなる
飛ばない人は体が止まって手や腕の力でクラブを下ろしてしまうため、遠心力が全く使えずにフォローが小さくなる。ノイマンのように下半身リードで切り返して手が力まなければ、遠心力が使えて腕が伸びていく
リサロッテ・ノイマンの系譜を継ぐのはこの選手
岩井姉妹
打ち方は違うが強い体を使い切るアスリートタイプ
アスリート系で強く打てる選手はプレーンやフェース向きを整えないと球が暴れてしまう。そういう意味では岩井姉妹のほうがスウィングの精度は高い
江連忠
1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた
月刊ゴルフダイジェスト2025年1月号より