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【スウィング研究】竹田麗央の飛びの秘密は“振り遅れ”にあり!? 石川遼ら男子プロ7人が分析!

女子ツアーの台風の目となっている竹田麗央は、平均飛距離260ヤード、振れば300ヤードという圧倒的な飛距離が武器だ。その飛ばしの秘密について、男子プロたちに話を聞いてみた。

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara

竹田麗央 たけだりお。初優勝からの2連勝を含む3勝でメルセデスランクトップを快走中。21年プロ入りの21歳。叔母は元賞金女王の平瀬真由美。166センチ。ヤマエグループHD所属

竹田麗央の1Wスウィング

「この“振り遅れ”が大きな飛距離を生むんですね」(石川遼)

竹田麗央が飛ぶ理由に関心があったという石川遼は、連続写真を見てすぐに秘密を見抜いたようだ。

「なんで飛ぶんだろうってテレビで何回か見てたんですけど、このコマ(下写真左)を見てわかりました。ここまで腰が回っていてヘッドはこんなに遅れている。これっていわゆる“振り遅れ”で、普通は悪い動きとされがちですけど、この振り遅れこそ飛ばせる最大の要因ですね」(石川)

振り遅れると球がつかまらないイメージがあるが……。

「振り遅れてフェースが開いていたら右に飛びますけど、竹田さんは少しストロンググリップで全体的にシャットフェースだし、シャフトプレーンに沿って下りてきてるから球がつかまるんです」


ここまで腰を開きながら打つのは怖い気もする。

「なかなか真似できないですよね。でも、力のないジュニアゴルファーが飛ばそうとするとこうなります。腕の力に頼らずに飛ばす代表的な例なんです。ただ、子供の頃はこう振っていた男子プロとかが、安定性を求めて直そうとする。それで腕は肩と肩の間にキープとか右ひじは体の前にあるのが正しいとかなっちゃうんです。でもそれだとよほど腕を鍛えて腕力を使うようにしないと飛びません。腕力に頼らず飛ばすなら、本来はこの形を真似するべきです」

「振り遅れても球がつかまるのはグリップのおかげです」

振り遅れても球がつかまるのはストロンググリップのシャットフェースで振れていることが要因。「振り遅れて右に飛ぶ人はグリップを直すだけで解決することもあります」

「飛ぶだろうけど長く活躍したいなら改善点もあるね」(片山晋呉)

「体がしっかりしてそうだし、右足の蹴りも強くインパクトで腰がターゲットを向くくらい回っているし、この打ち方なら抜群に飛ぶだろうね。ただ、テークバックで手元が外に上がっていくところや、トップで右ひざが深く曲がるところ、フォローでクラブが暴れる感じとか、世界の強い女子とは違う点がいくつかある。いまはタイミングが合ってるから真っすぐ飛ぶだろうけど、2年くらいしたらズレてくると思う。世界で活躍できるかどうかは、そこがわかるコーチに巡り会えるかどうかですね」

「こんなにタメても上体が浮かないとこがすごいです」(幡地隆寛)

「体が強そうでアドレスは硬そうに見えるのに、ダウンスウィングの捻転はすごくて柔軟性がありますね。女子はなかなかこんなにタメられないし、タメても上体が浮きがちなのに、しっかり我慢して沈んでいてすごくいいです。体幹が強そうです。これだけ強くて柔らかいとキャリーで270ヤードとか飛びそうですね。女子でこれだけハンドファーストにクラブを引っ張ってこられるのは珍しいし、ハンドファーストだけどちゃんとアッパーだから球をしっかり押していけてます」

「クラブがボールに直線的に下りている」(堀川未来夢)

「僕の課題でもあるんですけど、クラブをこれだけ背中側に外すのって怖いんです。でもボールに直線的に下ろせるポジションにあるから、出力が最大限になるし振り遅れないんですよね」

「僕もこれだけ体を回したいです」(杉浦悠太)

「この体の回り方はすごいですね。僕はあまり回らないタイプだから回そうと頑張っているんですけど、こんなに回らないです。しかもフェードで飛ぶっていうのがうらやましいです」

「切り返しの捻転の大きさが飛ぶ要因」(蟬川泰果)

「ドライバーでこんなにハンドファーストに当てて飛ぶっていうのは男子プロっぽいですね。それと、切り返しからの捻転の大きさと腰の回転がすごく飛びそうな感じがしますね」

「こんなに回転できてうらやましいです」(岩﨑亜久竜)

「下半身リードで振っていて、ダウンスウィングでこれだけ回転できているのはすごいです。自分はこんなに回転できないのでうらやましいです。柔軟性がないとこうは振れないですね」

月刊ゴルフダイジェスト2024年8月号より