【スウィング分析】笹生優花 トップがフラットかつシャットフェースに! 安定感抜群のストレートボール
全米女子オープンでメジャー2勝目を挙げた笹生優花。以前のスウィングと比べると、明らかな変化が見て取れた。現地を訪れていた南秀樹コーチに解説してもらった。
PHOTO/ Blue Sky Photos、Getty Images
解説/南秀樹
みなみひでき。木村彩子のコーチとして全米女子OPを経験。プロだけでなくアマチュアのレッスンにも定評がある
フェースローテーションを抑え
ストレート系の弾道に
米女子ツアーでメジャー2勝という快挙を遂げた笹生優花。そのウラにあるスウィング改造が大きいと、現地で見ていた南秀樹コーチは言う。
「日本ツアーで戦っていたときはフェースの開閉を積極的に使いドローを打っていたのですが、今は、開閉を少なくしてストレートに近い球を打っていますね。特に変わったのがトップ。昔に比べるとトップが低くなり、フェースがシャットになっています。このトップの形があるからこそ、ストレート系の球を打つことができ、ホールによってフェードとドローも打ち分けられるのです」
体の回転がタテからヨコに変わったことでトップが低くなり、フェースもシャットになったのが一番の変化ポイント。トップを見ればその違いは一目瞭然だ。アメリカツアーに本格参戦後、ドロー一辺倒では上には行けないと考え、笹生はスウィング改造を行った。
笹生のスウィング改造は3段階
●ジュニア時代……フェードからドローに
●2021年まで……ドローを徹底的に磨く
●2022年~現在……ドローからストレート系に
2024年の1Wスウィング
「トップが低くなりフェースをシャットに使う」
●Point 1 トップの手の位置が低い
トップで手元が頭の位置と同じ高さに。体をタテではなくヨコに回している証拠
●Point 2 シャットフェース
トップでフェース面が空を向くほど閉じており、フェースローテーションを抑えている
●Point 3 捻転が大きい
上半身が右足の上に乗るようなイメージで上体を大きくひねっている
●2022年の1Wスウィング
「ローテーションを使いドローを打つ」
●Point 1 手元の位置が高い
体をタテに回すイメージで、手元の位置が頭よりも上にくる高いトップになっている
●Point 2 スクエアフェース
24年のトップに比べるとフェース面がスクエア寄り。ローテーションで球をつかまえていく
●Point 3 捻転は十分
頭の位置は動かさず体をタテに回すことで捻転を作っている。十分な捻転量だが、24年のほうが大きい
沈み込みが減り体の回転が“ヨコ”に
20年のスウィングは切り返しからインパクトに向かって沈み込むように大きくひざを使っているが、現在はひざの角度を保ったままスウィングしている。このほうが安定感は増す
フェース管理ができるからこそ正確に攻められる
スウィング改造はドライバーだけでなく、アイアンやウェッジのショートゲームにも繋がっていると南は言う。「ショットのリカバリー力も向上しました」(南)
月刊ゴルフダイジェスト2024年8月号より