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マスターズは有観客だが……“女性版マスターズ”は無観客開催が決定

4月1日に開幕する米LPGAのメジャー、ANAインスピレーション。昨秋に続き無観客で開催されることとなった。

コロナの影響で昨年は多くの試合が中止となったこともあり、必然的にメジャーに対する注目度も高まった。そのため昨年のANAインスピレーションも中止にするわけにはいかず、9月に延期されていた。つまり、マスターズと同様に昨秋と今春に約半年の時を空けての試合となるのだ。しかしながら、マスターズとは異なり、ANAインスピレーションは2季連続の無観客開催に決定した。

ANAインスピレーションが開催されるのはマスターズの1週前。ともに毎年同じコースで開催され、また、シーズン最初のメジャーということで“女子のマスターズ”とも言われているが、トーナメント運営は大きく異なる。無観客で開催するということは、チケット収入やプロアマ、企業が協賛するコーポレートテントなどの収入がなくなることで大きな損失になり、ANAインスピレーションの場合、その多くをスポンサーが負担する。

一方マスターズの場合はチケット収入や観客の購入するマスターズグッズなどが収入のすべてなのだ。テレビの放映権にしても、放映枠をマスターズ委員会が購入して、ほとんど利益をあげない形で、スポンサーに売っているのだ(海外の放映権収入はあるが)。そのため、さすがのマスターズでも、2年連続の無観客というのは難しいものがあるのだろう。

昨秋、現地のANAのエグゼクティブディレクターであるテオ・ドーソン氏は「私たちはこの試合の開催を疑ったことは決してない」と語っていた。今年はこの試合(「コルゲート・ダイナショア・ウィナーズ・サークル」という名で1972年に発足)の第50回大会ということもあって、コロナで航空業界が大打撃を受けている状況下にありながら、ANAはプライドを見せた形。男子のPGAツアーの場合は、巨額の放映権料があるために無観客でも大きな痛手にはならないが、米LPGAツアーのスポンサーとしては苦しいところだろう。プロの試合というと皆同じように思えるが、実は試合ごとにさまざまな内部事情があるのだ。

カリフォルニアのミッションヒルズCCで開催されるANAインスピレーション。優勝者は18番グリーンを囲む池に飛び込むのが通例となっている

週刊ゴルフダイジェスト2021年4月6日号より