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【インタビュー】河本結・河本力<後編>「楽しむ準備はできている」

姉弟ともにツアープロである河本結と河本力。家族としてだけでなく、ツアープロの先輩後輩としてもお互いを信頼し励まし合い、絆を強めている。後編は、2人の趣味や、現在のトレーニング法、今後の目標まで、さらに深く語ってもらった。

PHOTO/Shinji Osawa THANKS/PGMゴルフリゾート沖縄

河本結 かわもとゆい。1998年生まれ。RICOH所属。5歳でゴルフを始め18年プロ入り。19年に初優勝を挙げ、翌年米ツアー挑戦。21年から主戦場を再び国内へ。昨年のQTで4位に入り、今季の活躍が期待される
河本力 かわもとりき。2000年生まれ。大和証券所属。7歳でゴルフを始め21年プロ入り。22年は2勝を挙げる。昨年は賞金ランク44位に終わるもドライビングディスタンスは歴代最高の322.58Yで2年連続トップ

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  • 愛媛県松山市出身、松山聖陵高校、日本体育大学を経て共にプロゴルファーとなった河本結と河本力。昨シーズンは思うような結果が出ず苦しんだが、すでに新シーズンに向けて動き出している2人。仲良し姉弟のゴルフへのアツい思い、そして「結ぶ力」とは――。 PHOTO/Shinji Osawa THANKS/PGMゴルフリゾート沖縄 河本結 かわもとゆい・1998年生まれ。RICOH所属。5……

――お互いどんな存在ですか?

 友達ですね。何でも話をするから。たとえば恋愛話なんかも全部知っているという仲です。

力 確かにきょうだいでは珍しいですよね。だって中高大一緒ですから。保育園と幼稚園だけ違いますけど。

 両親には、私たちは必ず先に死ぬから、そのときは姉弟しかいないので絶対に仲良くしなさいと、事あるごとに言われました。2人で助け合いなさいって。

 僕らは家族がすごく大事です。言い方は悪いかもしれませんけど、自分のサークル内にいる人を大事にすることで自分のチームの雰囲気も変わると思っています。あと、僕にとっての結は、一番身近な先輩プロとして尊敬できる存在でもあるので、ゴルフのアドバイスもきちんと素直に聞く。自分をアゲてくれる人です。一緒に練習して、自分がもういいやとなっても、結がまだやっている。そういうゴルフ、そして人生の先輩です。いろいろ相談もします。どういう文章を送ったらいいかも。でもすごくケンカもしてたよね。

 中学生くらい?

 どんなことでも言い争いになっていた。

 ケンカの内容がしょぼすぎて(笑)。先にどっちが食べたとか、どっちのお肉が多いとか。でもこの前ライブにも一緒に行ったんです。力の影響でヒップホップにハマって。バッド・ホップというグループの解散ライブです。


 東京ドームで。すごい迫力だったんですよ。

 かっこよかったです。悪いことばかりしていて貧しかった少年時代なんかを全部歌詞にするんです。ドームに来るのも10年かかったと。10年前はラップなんてすごく白い目で見られていたのに、俺は今ここに立っているということを歌っていて。感動して号泣です。

 カッコええです。僕も練習のときや車のなかでも聞きます。結は昔、こんなの聞きたくないってケンカしてたのに、今は僕より入り込んでいてすごく詳しい(笑)。

 魂を揺さぶられることってあまりない。自分たちがその(揺さぶる)立場に立たないといけないですし。でも、何かをモノにするってすごくカッコいい。今回、夢を達成した瞬間を見たから、自分ももっと夢を持って頑張ろうと思うし、達成する瞬間を皆さんに見せたいと思いました。アメリカに行って終わったなあって言われたりするけど、こんな景色だけをイメージしていきたいなあって。

 いけるよ、いけるよ。

 本当かよ(笑)。

 自分で決めるんだよ。

 今のヒップホップっぽい(笑)。でも、ファンの方が、私の写真をSNSの画像にしたりする気持ちがわかりました。

趣味は結局ゴルフ!?

――2人の趣味やリラックス法は?

 最近は趣味もゴルフになっているんです。オフにも友達とゴルフに行って、たまに左でゴルフするんですけど、めっちゃ下手くそで思うように打てないから逆に楽しい。趣味はレフティゴルフですね。結の趣味は、読書と音楽だよ、確実に! それ以外何もない。

 最近はボディメイクもしていますよ。ゴルフのトレーニングとは別に、体のラインを綺麗にするもの。自分の夢として、いろいろな人に影響を与えたいという思いが強い。プロゴルファーなのにすごくスタイルがいいけど筋肉はきちんとあって250ヤード飛ぶ、そういう人ってオーラも身にまとっています。でも、趣味でやっているつもりでも学ぶことがすごく多くて、体の使い方、特に下半身メインで、お尻の筋肉の付き方や形で、こういう筋肉が弱いというのがわかって、それがゴルフにも影響するんですよ。あ、結局ゴルフにつながっていますね(笑)。でも鍛えたら筋肉も大きくなるし、見た目もよくなり一石二鳥です。

 僕はトレーニングでいうと、昨年はウェイトに力を入れすぎたので今年はすごく走っています。全身を使うことやリズム感にもつながるし、これはゴルフにもすごく大事ですしね。

 体、絞れたよね。

 坂道をダッシュしたりします。100mもあれば、75mとか50mのときもある。でも、10~30mの短い距離は絶対に走る。瞬発力や体のキレのためにも必要なんです。あ、3~5kmも走りますよ。持久力も大事ですから。走ったことで1年目の体力は問題なかった。僕はもちろん、将来的にはアメリカに行きたい。やるべきことをしっかりやってから行こうと。浮ついた状態で行くなと経験者の姉から指導も受けています。いきなりPGAツアーに挑戦するかは模索中です。その道はすごく狭いので、現実的なやり方を考えています。

 プロゴルファーとしての人生って短いんです。アメリカでも人間的に成長はできるけど、苦しいシーズンをできるだけ減らしてあげたいんですよね、姉心として。だから、今ではないと。やるべきことを踏んでいっても、まだ時間はあるからと。ちょっと成績が良くてアメリカに行って、調子が落ちたら大変になるということはよくわかっているので。ゴルフがすごく嫌になってリカバリーに何年時間がかかるかもしれない。私は努力型だったからメンタルでどうにか保ってこようとしたけど、力は才能型なのでプツンと切れたらそのままになりそうだし。私なりにアドバイスして、力は力の道を行ってほしいんです。

 僕は飛距離という面でも期待が大きいとは思うので、それには応えたいんですね。

 周りに言われて行かないのも本人はきついと思うんですけど、もう少し準備できてからだよね。もちろん私も機会があったらまた行きたいですけど、私がゴルフ人生で一番何をしたいかというと、子どもたちにプロゴルファーになったり、何でもいいので夢を持ってもらうきっかけを作ること。そのためにも感動を与えたり勇気を与える人になりたいんです。それに関係するとなったらまた行くと思います。その夢のために今から何をしたらいいかを考えることが楽しい。それにしても力は本当に集中力が伸びた。小5、6の頃は練習も5分で飽きたり(笑)。今はすごく集中して練習しているし。

 つまり努力型ということですね(笑)。でも結はジュニアの頃から大人と関わることが多くてコミュニケーション能力はずば抜けてた。僕の周りが幼く見えました。インタビューの受け答えもすごいし。それを指導されているので、僕も頑張って答えています。

「楽しむ準備はできています!」

――このオフ取り組んだことと目標を教えてください。

 技術面では、クラブが下から入るクセを引き続き直しています。クラブを立たせすぎないように。

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「アイアンショットでターフを取りすぎないように。スピンが入りすぎてタテ距離がどんどん合わなくなってきた。昨年は体の使い方やひじの位置はよくなったけど、極端に直しすぎて、結果も求めたからかその過程が成績によくない形で出て苦しかった。このオフは少し戻して調整しながら形を作っていくと理想形に近づいてきました」

 ここ3年で変なアドレスを作ってきてしまったので、自分の近くを手元が通るように、アドレスから見直した感じです。力からアドバイスを受けてグリップも変えました。トレーニングでも体の動きを変えて。トレーナーさん3人にこうしたいと伝えていい感覚を取り入れて。足を使えていなかったので、足の裏から変えましたね。

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「つかまったフェードを打ちたいんですけど、右手だけフックになりすぎていたのをウィークめにして曲がらなくなった。クラブが上から、外から来ないように気を付けて、インから入れるけどフェースを寝かせたり手を返すのではなく体の近くを通す。クラブが寝なければ右に行きません」

 今年の目標は、全力で楽しむことです。結果面でいえば複数回優勝、賞金王なんですけど、本当によかったと思えるシーズンにするために、とにかく楽しみたい、今は楽しめる準備ができている。その方向はチームのみんなが理解してくれていると思います。周りの期待は嬉しい。もっと期待してほしいですし、そこに応えてこその一流だと思うので。目指すは翔平・大谷。でも自分を追い込みすぎないようにしていきたいです。

 私は、とにかく全力でプレーすること。自分の夢に向かって、成績を出す準備としてこのオフ過ごしてきたし、シーズン中も続けていけるように準備したし、いろんなことを想定してたくさんトレーニングも練習もメントレもしてきました。だからとにかく全力でプレーする。おのずと結果はついてくるのかなと思っています。

――それぞれの目標に向かって今シーズンも走り出した河本結・力姉弟。魂のゴルフを応援していきたい。

「力」「結/ゆいぴ〜」と呼び合う2人の好きな色は同じ「紺」。カップル写真に見えるくらい本当に仲がよい。お互いに合う異性を聞くと「うーん、わからないですけど、力が連れてきた女性はしっかり見ますね」(結)「僕は、結の生活の質を上げてくれる人がいいなって。稼ぎでも精神的にも現状以上。ちなみに僕は誰とでも仲よくできますよ(笑)」(力)

週刊ゴルフダイジェスト2024年3月26日号より