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「2014年のスウィングが一番いい」松山英樹がそう振り返る理由とは? 内藤雄士が核心に迫る

米ツアー参戦11年目を迎えた松山英樹。中継の解説などで松山を間近で見てきた内藤雄士がこの10年のスウィングについて聞き出した。

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Takanori Miki、Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Getty Images

松山英樹 2010年アジアアマで優勝し、11年のマスターズでローアマ獲得。13年にプロ転向し日本ツアー賞金王に。14年からPGAツアーに本格参戦、21年のマスターズでアジア人初のメジャー優勝を達成
内藤雄士 丸山茂樹のコーチとして長年の活躍を支え、現在は日大ゴルフ部のコーチも務める。PGAツアーの解説者としても活躍中

50位の価値の大きさは
終わってからわかった

内藤 まずは23年を少し振り返りたいんですけど、22年から続く首の怪我の影響もあってつらいシーズンだったとは思いますしツアーチャンピオンシップを逃したのは悔しかったと思いますが、それでもフェデックスカップで50位に入ったことは24年のシグネチャーイベント(新しく設定された昇格大会の8試合)の出場資格が得られたのですごく価値があると思います。プレーオフシリーズに入るときは57位で、セントジュード選手権の最終日も前半はボギーが先行していたから、これは50位も厳しいのかなと思ったんですけど、最後の15番からのバーディ、イーグル、バーディの巻き返しはすごかったですね。

松山 3日目が終わってさすがにこの状況はマズイなって思って、あの時期はずっとラウンド後の練習はしてなかったんですけど、初めて練習して、こういう感覚でやればいいゴルフができるかもっていうのがあって、それを信じてやりました。ギリギリ50位に入れましたけど、実は終わった後にシグネチャーイベントのことをちゃんと理解したんです。

内藤 え、そうだったんですか?

松山 50位以内なら出場できるっていうのは知っていたんですけど、ポイント数のことは(優勝者の獲得ポイントが通常の試合よりも多くなる)たぶんみんなわかってなかったんです。だから終わってから「あー、本当に良かったな」って(笑)。

長いスパンで安定して
振れることが大切

内藤 スウィングについて聞きたいのですが、10年前といまのスウィングを比較するとどうですか?

松山 2014年頃が一番いいスウィングしていますね。

内藤 それは少し意外です。この10年間僕も松山君を見てきて、ひとつの修正点に膨大な練習量を費やす姿には本当に頭が下がるなと思っていて、それだけの努力を重ねてきたのに14年のほうがいいというのは?

松山 この10年間で一番自信を持ってプレーできていたのはアメリカへ行きたての13、14年の頃なんです。成績どうこうは別にしてね。

2014年メモリアルで米ツアー初優勝

「2014年はまだチャレンジャーの立場だったし、スウィングの悩みは少なかった」

内藤 マスターズ優勝直後のインタビューで「理想のスウィングが100としていまは何%」って聞いたら即答で「5%以下です」って答えだったんだけど、いまはどうですか?

松山 いまのほうがまだ良くなってるかな。マスターズのときは自信を持ってやってたけど、それをずっと続けられるかというと難しいんです。単発ではいい成績が出ても長いスパンで見たときに安定してできるのは14年のスウィングなんです。いまの(技の)引き出しを持ったうえでこのスウィングでできればいいなと。

2014年(後方)
「当時、後方から見たスウィングで悩んだことはなかった」

「2014年のスウィングはいまより悩みが少なくてとくに後方は悩んだことがなかった」(松山)
「ずっとオンプレーンでしたよね」(内藤)

「顔の向きが全然違いますね」
14年の頃といまのスウィングを比べると、いまはインパクトで頭が残りすぎていると松山。「あのころのスウィングに戻れるよう日々練習中です」(松山)

内藤 引き出しの数は10年前と比べるとすごく増えてますよね。とくにショートゲームは最初の頃は「バミューダの逆目は吐きそう」とか言ってて(笑)、マル(丸山茂樹)に教わったりしてたけど。

松山 バミューダの逆目はいまでも嫌ですよ。でもそのなかで妥協してこれで打とうというのがあるので、確かに引き出しは増えましたね。丸山さんは会うと毎回話してくれて、やっぱり自分とは全然違うものを持っているからそれを試してみて、そのときはわからなくても後になって丸山さんが言っていたことが理解できて、こういうことかってわかるというのがたくさんありました。

丸山茂樹にはショートゲームのアドバイスを受けた

ショーゲームの名手、丸山茂樹からのアドバイスを吸収したことも技の引き出しが増えたひとつの要因となった

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月刊ゴルフダイジェスト2024年3月号より