【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.147「最終ホールで10打。悔いはありません」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa
もう2カ月前ですが、今年の全英シニアオープンはウェールズのロイヤルポースコール開催でした。ここでは過去、2014年と2017年にも全英シニアが開催されております。
僕は2014年の大会に出場しましたが、最終日は強風のなか17番を終わった時点で3アンダーで、最終の18番パー5でバーディでも取れたらベスト10入りも狙えるかいう状況でした。
セカンドショットは風がフォローで7番アイアンでグリーンに届きます。「これ取ったらベスト10入りでまた来年出られるわ」と思うていたら、ミスショットしてグリーンの手前に2つあるバンカーのやや手前にショートですわ。
3打目は40ヤードくらいのアプローチショットを今度はザックリして、前のポットバンカーに入り、おまけにそれが目玉でね。ボールは土手に近いし下の砂はほぼ平らやからボールは上がりにくい。
見た瞬間に厳しいなと思ったけど、勝負や思ってバーンと目玉にヘッド打ち込んだ。でもコン、コン、コン、コーンって何度打ってもバンカーから出ない。
最後はもう訳わからんとバーンって打って出て、そこからパットが入って、「How many?」ってキャディに聞いたら「Ten」言われました。
結局、パー5で5オーバーですからね。最終日はトータル73で、ベスト10狙いが一気に52位タイまで落ちました。
このとき、なんでバンカーからピン方向を狙ったのかです。
もちろん、絶対に無理やと思ったら、横とか後ろに出します。
でもそのときは、「80~90パーセントは無理でも、10回打って1回か2回はイケるかな」いう感じがしたから行きました。
なんで行ったんかといえば、僕は「このためにやってきた」と思ったからですわ。メジャー大会でやりがいのあるコースで、たくさんのギャラリーが見ているなかでの最後のショットやからね。
まったく無理じゃなしにギリギリ行けるかもしれないというショットなんやから、コレはもう行くしかないと思って打った。だから悔いは残らんもんです。
「海外メジャーはたいがい見とります。2025年の全英女子オープンの開催地は、僕が回ったロイヤルポースコールです」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号より