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【スウィング研究】女子ツアーを席巻中! 岩井姉妹の進化ポイントをコーチが解説

今やすっかり女子ツアーの中心的存在となった岩井明愛・千怜姉妹。2人のスウィングの特徴について、小学生時代から指導している永井哲二コーチに聞いた。

解説/永井哲二 PHOTO/Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa

岩井姉妹 双子 ゴルフ
岩井明愛(左)……いわいあきえ。2002年7月5日生まれ。昨年賞金ランク44位でシード獲得。今季KKT杯バンテリンでツアー初優勝を挙げた。Honda所属
岩井千怜(右)……いわいちさと。2002年7月5日生まれ。昨年、初優勝からの2週連続Vを果たし、今季もすでに2勝を挙げる。Honda所属

岩井姉妹を指導する永井哲二コーチに、ルーキーイヤーだった昨年と比べて進化したポイントを教えてもらった。

「大きな変化ではないですが、ちょっとした進化は2人に感じられました。明愛プロはダウンスウィングで左わきがしっかり締まるようになりましたね。そのおかげでシャフトが立って下りてくるようになりました。左わきが締まりシャフトが立って下りるようになったことで、クラブが体の近くを通る。つまり、余計な動きが入らずインパクトを迎えられるので、ボールに最大限の力を与えられています」

今季飛距離が伸びた千怜プロは、「フォローに進化がある」と永井コーチ。

「トレーニングも飛距離が伸びた要因のひとつですが、スウィング面からみると、インパクトからフィニッシュの動きがよくなりました。以前はフォローで前方にクラブを押し出すような動きがあったのですが、今はまるく円を描くようにフィニッシュまで振り抜けています。振り抜きがスムーズになることで、スウィング中に減速するポイントがなくなり、飛距離アップにつながったのでしょう」

明愛’s Swing
「ダウンスウィングで左わきが締まり

シャフトが立って下りてくるように」

「バックスウィングで体を大きくねじろうとすると、下半身が右側に流れやすくなるのですが、左ひざを前に出すことで耐えています。下半身との引っ張り合いができ、十分な捻転差が作れるわけです。また、インパクトでの股関節の入れ替えがスムーズなのも素晴らしい点です。余計な動きが入らずに素早く回転ができているので、小さな力でも大きなパワーを伝えられ、飛距離が出せるんです」

千怜‘s Swing
「フォローでクラブがスムーズに振り抜かれている」

「その場で回転するのがとても上手な選手です。軸が真ん中からズレず、左右の動きがとても少ない。明愛プロに比べると、ミート率が高く、左右へのミスが少ないスウィングと言えます。また、以前に比べて捻転量も大きくなっていて、これも飛距離アップの要因でしょう。捻転量が増えても下半身が右に流れないようなトレーニングを積んだのがスウィングから見てとれます」

続いて永井コーチは、以前から変わらない2人の共通点を教えてくれた。

「1つ目は、力みを感じさせないアドレスができていること。両ひじを柔らかく使えているから力んでいるように見えず、適度な力加減でアドレスでき、その力感を変えずにスウィングができています。2つ目は、ダウンスウィングでの右ひじのたたみ方です。これは2人の最大の特徴で、腕が体から離れず右ひじが曲がったままインパクトを迎えられています。体と一体で振れるため、腕の力だけでなく全身でボールを押していけるんです。さらに、ひじが体にくっついていると軌道の安定にもつながるので、ミート率も高くなります。ひじが柔らかく使えているから、右ひじのたたみ方が上手なんです」

2人とも、小さな力で効率よく飛距離が出せるスウィングが染みついているというわけだ。

「3つ目の特徴は、テークバックで手と体の距離が近いことも2人の特徴です。これは、手だけで動かさず、体を使って上げられているということ。基本的なことですが、なかなかできません。基本に忠実な、教科書のようなスウィングだと私は思っています」

共通点 1
力みのないアドレス

アドレスからフィニッシュまで力みを感じさせない。手首ではなく、両ひじを柔らかく使えている証拠。このアドレスが、スムーズで安定したスウィングを生む。

共通点 2
テークバックで手と体の距離が近い

手先だけのテークバックではないので、腰の高さですでに上下のねじれが作れている。体との距離が近いと、ダウンでもクラブが遠回りしにくくなり、ミート率も高くなる。

共通点 3
インパクトで右ひじが曲がったまま

右ひじが体から離れず、曲がった状態でインパクトを迎えている。腕だけでなく、体全体でボールにパワーを伝えられるので飛距離を出せる。

月刊ゴルフダイジェスト2023年9月号より