【PGAツアーエキスプレス】Vol.24 タイガー・ウッズが魅せた、芸術的ロブショット
ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第24回のテーマは、2012年メモリアルトーナメントでタイガー・ウッズが見せたロブショットについて。
PHOTO/Tadashi Anezaki 取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)
憧れの“ロブ”をいつか自分も!
PGAツアーの楽しみ方はたくさんある。好きな選手を見るのだって、優勝争いだって面白い。そして、プロの“技”に酔いしれるのもまたいいだろう。今回は、そんなプロの技について、PGAティーチャー・オブ・ザ・イヤーを受賞したこともあるトッド・アンダーソンに解説してもらおう。
フワッと高く上がって、ピタッと止まる。ロブショットはアマチュアゴルファーの憧れの技であり、プロのキレイな放物線に魅了される。2012年のメモリアルトーナメント。タイガー・ウッズが16番で見せたロブショットはまさに芸術といって差し支えないだろう。
16番はパー3で、タイガーはティーショットでグリーンを外してしまい、ボールは深いラフにつかまっていた。ラフからでは思うようにスピンは入らないため、距離感が難しい……寄せられる唯一の方法は“高さを出して真上からグリーンに落とす”ことだけだった。それを見事にやってのけたタイガー。大歓声とともに、そのロブショットを(できもしないのに)真似するアマチュアゴルファーが続出。そこで、できるかどうかは別として、ロブショットの仕組みをアンダーソンに説明してもらった。
「まず大事なのはアドレスだね。クラブフェースをどれだけ開けるかが大きなポイントだ。多くの人は開けないからね。ボールを左足寄りにセットして少し左を向く。この構えができている人はあまりいないんだ。テークバックでは積極的に手首のコックを使ってほしい。アップライトなスウィングをしたいからね」
ロブショットの難しいところは、バックスウィングで入れたコックを、ダウンスウィングではタイミングよくほどかなければいけないことだ。
「インパクトでヘッドを走らせなければならない。そのためにコックをほどくわけだが、注意してほしいのは、フェースは開いたままにしておくこと。特にラフでは、抵抗に負けてフェースが返ってしまうからね。すると、ボールはフワッと高く上がって、真上からグリーンに落ちて止まってくれるでしょう」
そしてもうひとつ、ロブショットを打つうえで大事なことがあるという。
「怖がってはダメだ。フェースを開く勇気、思い切り振り抜く勇気。これこそが、ロブショット成功にもっとも必要なことなんだ」
ヘッドを走らせてボールを高く上げよう
ボールの下をくぐらせて打つロブショットはそもそも難易度が高い技。「アドレスでしっかり開けること」、「コックを上手く使えること」、「ヘッドを走らせられること」が打ち方の基本的な項目。そこにプラスで、“勇気”も大切な要素
月刊ゴルフダイジェスト2023年7月号より