LIVゴルファーのマスターズ出場に9.11被害者団体が「待った!」
昨年末、23年のマスターズにLIVゴルファーが招待されるというニュースが報じられたが、これに反発する動きが出てきている。
この決定に反発しているのは、アメリカ同時多発テロ(9.11)の被害者やその家族たちから構成される団体で、今年のマスターズの会場、つまりオーガスタナショナルの周辺でデモを行う予定だという。
これまでも、LIVゴルフの試合がアメリカで開催された際に同団体が反対運動を行ったことはあったが、それがマスターズにまで飛び火するとなると影響の大きさも違う。
そうしたなかLIVゴルフは「PGAツアーがLIVのイメージを悪くしようと陰で操り、9.11の悲劇を利用している」と批判。
実際ウォールストリートジャーナル紙によれば、主にロビー活動などを行っているクラウト・パブリック・アフェアーズ社の社長がPGAツアーと契約していることを認めたうえで、「9.11の被害者家族の声を届ける運動を手伝っている。これを誇りに思う」と語ったとしている。
確かにサウジアラビアがバックについたLIVゴルフに関しては、人権問題などを隠し同国のイメージを変えるためにスポーツを利用する、いわゆる”スポーツウォッシング”の疑惑はある。
特にワシントンポストの記者がトルコで殺害され、これにサウジが関与していたとされることから、アメリカのメディア各社はこの問題に敏感に反応している。
しかし同テロを首謀し、アメリカに殺害されたウサマ・ビンラディンはサウジアラビア出身とはいえ、サウジ政府が関与したという確たる証拠は、現在のところないとされる。LIV側の主張が本当であれば、PGAツアー側は”利用できるものはなんでも利用している”にすぎないのかもしれない。
このままマスターズ会場でデモ活動が行われることになれば、PGAツアーとマスターズ委員会の間に軋轢(あつれき)が生まれるかもしれない。
週刊ゴルフダイジェスト2023年1月31日号より
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