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【新ルール】もう慣れた? 実際にあった「ピン差しパット」の迷いと気づき

新ルールが施行されて3カ月。ようやく慣れた人もいれば、まだまだ戸惑う人も多いことだろう。そこで今回は、新ルールに対する悩みを集め、市村元さん(日本ゴルフ協会 規則統括部長)に解説してもらった。これさえ知っておけば、新ルールを味方にできる。

今回のテーマ「ピン差しパット」

JGA(日本ゴルフ協会)の市村元規則統括部長によれば、今回のルール改正で最も問い合わせが多いのが、「ピン差しパット」だという。ルールの解釈はもとより、どちらが有利なのかとゴルファー には興味深い問題なのだ。

では、ルール改正の目的でもあるプレーファストに貢献しているかとなると意見は半々となった。「最初は戸惑ったが慣れてくるとプレーがスムーズになった」という意見がある一方、「ピンを外すのか差すのか統一できればいいけど、プレーヤーによって混在すると、かえって時間がかかる」という意見も。

これについて市村氏は、「スロープレーの防止ばかりが注目を集めていますが、これは改正の目的の一部であってすべてではありません。大きな目的はルールをシンプルにすることです。その分、プレーヤーには選択肢が広がり、責任も大きくなるという 観点から、今回のルール改正をとらえることが重要です」と話す。

具体的に「ピン差しパット」ではプレーヤーは、①抜く、②差す、③付き添わせる、と選択肢が広がっている。その分、大きくなったプレーヤーの責任とは、「プレーヤーごと、ストロークごとに違う方法を選べば、確かに時間はかかります。だからこそお互いに協力し合う“配慮”が求められる、ということです」。

【みんなの悩み①】ピンを抜き差しするとプレーが遅くなる
     
プレーヤー同士協力して回ろう
ピンの抜き差しを繰り返せば時短どころかプレーが遅くなる原因にも。また本当は抜きたくても遠慮して言い出せないなどもある。より大切になるのは、プレーヤー同士のコミュニケーションであり、お互いが協力し合うことなのだ。

【みんなの悩み②】カップのふちが損傷しやすい
     
新ルールでは損傷を直せる
ピンの抜き差しが増えること、またピンを差したまま球を拾い上げるにはピンがない状態より時間がかかることなどで、これまでよりカップのふちが傷んでいるという声が多い。だが、新ルールではこうしたカップのふちの損傷は修復することができるのだ。

【みんなの悩み③】打ち込まれることがあった
     
後ろの組への一層のケアを
ピンを差したままプレーしていたら、打ち上げのブラインドホールで、前組のプレーが終わったと思った後続組に打ち込まれたという事例も。こうした場合はプレーヤー同士の協力が不可欠。後続組から見える位置に立つ、カートを見える位置に置くなど、安全への配慮が求められる

アンケートではピンを差したままプレーしていた際、ブラインドホールで後続組から打ち込まれたという報告もあった。これについても、「ここでもほかのプレーヤーの安全に気を配ることが大切で、 合図を出す、声をかけるといった責任と配慮が求められます」と市村氏。

ちなみに配慮とは、規則1のゲームの精神、行動基準に書かれているものだ。プレーペースの改善はその組全員で努力すべきものであり、協力し合うことが大前提なのだ。

週刊GD2019年4月16日号より

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