【The Rules】バンカーのアゴ上のラフにボールがくい込んだ。救済のドロップはバンカー内じゃないとダメ?
今日もコマッ太くん、マナブくん、キク子ちゃんの3人でラウンド。すると、ルールに関して意見が分かれる場面が。果たしてこんなとき、どう処置すればいい?
ILLUST/Tomoko Sano TEXT/Youichi Tsunoda
コマッ太くん
せっかちでうっかりでルールのミスや勘違いが多いのがたまにキズ。でも本当はマジメ
マナブくん
根っからの勉強家。ルールブックをよく読み裁定集にまで目を通している、頼れる存在
キク子ちゃん
ゴルフのプレーとルールはまだまだ勉強中。でも他人の意見をよく聞く耳を持っている
コマッ太君のボールはバンカーのふちのすぐ上のラフにくい込んでしまった。「救済を受けるね」といったコマッ太君は、拾い上げたボールをバンカー内にドロップしようとした。果たしてこれは正しい?
「ドロップの基点はボールの直後」だからバンカー内にドロップしないとダメだよね
バンカーにドロップするのはイヤだけど、ボールの直後はバンカーしかないから仕方ないよね。
地面にくい込んだ球の救済は「ジェネラルエリア」じゃないといけないのでは?
地面にくい込んだボールを救済するときの救済エリアはジェネラルエリアのはずだから、バンカー内にドロップする必要はないのでは?
果たしてどう処置するのが正しい?
地面にくい込んでいる球は無罰の救済を受けられる(規則16.3)。
基本の条件は「球がジェネラルエリアにある」こと。ジェネラルエリアはティーイングエリア、ペナルティーエリア、バンカー、パッティンググリーン以外の場所。ラフはジェネラルエリアだから無罰の救済を受けられるんだ。
問題はボールがバンカーのすぐ上にあったこと。ドロップの基点の原則は『球が地面にくい込んでいる場所の直後の箇所』(図16.3b)。この場合はバンカー内で、救済エリアもバンカー内になる。
でも規則には『救済エリアはジェネラルエリアでなければならない』(規則16.3b要約)という制限もある。変だね。実はこの状態になっていたのは昨年までだった。
この混乱を解決するために23年のルール改正で「“基点は”ジェネラルエリアで球が地面にくい込んでいる場所の直後の箇所」と以前までのルールに基点の条件が書き加えられた。ボール後方にジェネラルエリアがなければ、「ホールに近づかない最も近い箇所」を基点にする。つまりバンカー内にドロップする必要はないのだ。むしろ、これを忘れてバンカー内にドロップし、そこからプレーすると誤所からのプレーで2罰打になるよ。
正しい基点を決められるように、機転を利かせた判断をしようね!
※ゴルフ規則16.3bなど
くい込んだ球の救済の基点はジェネラルエリアでなければいけない。バンカーにはドロップはできない
月刊ゴルフダイジェスト2023年8月号より