【浦ゼミナール】Vol.34 “持ち球”は作るものではなく、見つけるもの
身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第34回のテーマは、自分の「持ち球」の見つけ方について。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー
浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰
真っすぐ打とうとしてどっちに曲がるのか
――今回は、ドローかフェードかという「持ち球」についてお聞きしたいと思います。やっぱり自分の持ち球ってはっきり決めておいたほうがいいんですか?
浦 それはもちろんです。でもアマチュアの方って持ち球を勘違いしている人が多いんですよね。
――えっ? どういう意味ですか?
浦 持ち球は、「ドローかフェードどっちを打ちたいか」という願望で決めるものじゃないんですよ。スコッティ・シェフラーを見て「カッコいいな、フェードにしようかな」とか「ドローのほうが飛ぶらしいからドローにしたいな」とか、そういう願望ベースで考えるから訳がわからなくなる。持ち球っていうのは、自分が真っすぐな球を打とうとしたときにどっちが出るのかという傾向を、徹底的な統計に基づいて判断するものです。
――なるほど、統計ですか。たとえば10球打って多く出るほうが自分の持ち球ということですね。
浦 10球くらいじゃ話になりません。最低でも1カゴとかできれば100球単位の球を、理想を言えばある程度の期間にわたって、番手別にデータを取って、どっちに打ち出してどっちに曲がったかというところまでちゃんとチェックしたい。繰り返しますが、「真っすぐな球を打とうとして」というところがポイントですよ。ドローを打とうとかフェードを打とうという意図があるのは「狙い球」。「持ち球」というのは真っすぐな球を打とうとしたときにドローになるかフェードになるかということなんです。100球真っすぐ打とうとするのはキツいですが、ここまでやって初めて意味のあるデータになります。
――そうなんですね……。ではこういう人はフェードになりやすいとか、そういった傾向はあるんですか?
浦 基本的には腕の長さですね。腕が長い人は自然とグリップの位置が低くなり、スウィング軌道もフラットになりやすいのでドローになりやすい。反対に腕が短い人は手元の位置が高くて軌道がアップライトになりやすいのでフェードになりやすいというのはあると思います。言い換えれば、腕が長いのにフェードを打っている人はそれはナチュラルな軌道に対しては不自然なのでフェードというよりも本質的にはスライスですし、手が短いのにドローを打とうとしても引っかけのリスクが高まる。その意味では「いいスウィングをすれば、腕の長さに応じた球筋になりやすい」という目安だと思ってください。
●腕が長い=フラット=ドロー
●腕が短い=アップライト=フェード
真っすぐを打つ練習は「絶対に」上達につながる
浦 さっきも強調しましたが、持ち球の判定のために目指す「真っすぐな球を打つ」というのは、練習としても最高ですし、ぜひ徹底してやってほしいんです。
――でも僕らは真っすぐなんて打てません……。
浦 だからこそ必要なんです。これはすごく大事なことなのに、きちんと向き合って「真っすぐを打とう」と努力したことのある人なんてほとんどいません。だから上手くならないんですよ(笑)。まずは何も考えず形を気にせず、「真っすぐ」を打とうとしてください。そのときにどんな球が出るかが基準になります。これを真っすぐに近づけていく工夫が大事なんです。たとえば右に曲がるのであれば、そこに「フェースをかぶせる」とか「腕のローリング」といったドロー的な要因を足していく。左に曲がるのであれば「フェースを開く」とか「インパクトで体を開く」というようなフェードの要因を足していって、何をどのくらいやれば真っすぐに近づくのか、真っすぐが出やすいのかということを徹底的に研究する。
●ドロー方向に近づけるための要素
●フェードに近づけるための要素
フェースを開く 体を開く
――なるほど。ドロー・フェード要因の引き出しがたくさん必要ですね。
浦 世の中にあるレッスンには、こういうネタがものすごくたくさんあるはず。普段からこの意識を持って見ていれば、そういう要因はいくらでも見つかるし、その中から自分に合ったものを探し出すこともできるはずです。
――確かにそうですね。
浦 いまのは、そもそもどちらかに曲がる自分の球を真っすぐに近づけていくという修正作業でしたが、これに加えてゼロから真っすぐを作る練習もやってほしいですね。まずはスタンス幅くらいのごく小さな動きでボールを真っすぐ打つ。これは誰でもできますよね。そこから少しずつスウィングを大きくしていって、真っすぐを打ち続けるんです。ある程度振り幅が大きくなって曲がり始めたら、そこに何か球を曲げる要因があるということです。もちろんこれらに加えて「曲げる」練習も必要ですよ。これは最初の「真っすぐに近づける」練習とも別物。できれば同じ日にやらずに別の日にやってください。どうやったらどのくらい曲がるのか、どこから曲がってどこに落ちるのか。そういったことを徹底してやっていれば「絶対に」上手くなりますよ。
小さな動きから始めて“真っすぐ”を拡大する練習をしよう
【小】
まずはスタンス幅の小さな動きで「真っすぐ」打つ
【中】
振り幅を少し大きくしても「真っすぐ」飛ばせるか
【大】
振り幅が大きくなっても真っすぐ飛ばせるように
月刊ゴルフダイジェスト2022年12月号より