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【ゴルフの急所】Vol.16「年齢とともに飛距離は落ちるもの。それに抗うには“素振り”が一番です」

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC

前回のお話はこちら

50歳を過ぎてから飛距離が落ちてしまいました。数年前まで越えていたバンカーにはつかまるし、アイアンも1番手大きめを持つようになっています。このまま飛距離が落ちていくのを食い止めたいのですが、アドバイスをお願いします。(坂本一寿さん、54歳、HC14)


さまざまな素振りを練習に取り入れてほしい

まさに今、ボクも同じ状況に立たされています。

ボクは毎年、オフシーズンには暖かい海外で体をフルに動かし、トレーニングを積んで、1年間戦うための準備をしてきました。しかし、今年は新型ウイルスの影響で、どちらも思うように事を進めることができなかったのです。すると、トップは気持ちのいいところに収まらないし、体の力がクラブに伝わらないし、明らかに球にスピードがない。「こりゃあ、まいったぞ」という感じなのです。

基本的に、歳を取れば筋力は落ちるし、運動能力も低下します。さらに柔軟性も失われてくるので、飛距離が落ちてくるのは仕方のないことだと思います。

ただ、なにもせず、その状況に甘んじれば、より状況が悪化することは間違いありません。体が変化して、今までどおりのやり方では上手くいかなくなっているのですから、それに抗うためには、自分がすることを変えなければいけないと、ボクは思うのです。


そこで、ボクが今年、自分に課しているのが素振りです。2月からは、練習にさまざまな素振りを取り入れ、その量を増やしてパワーとスピードのアップを図ることにしたのです。

基本的に、重いもの(野球のバットや重い素振り用練習器具)を振れば、パワーやバランスがアップします。逆に、軽いもの(ヘッドを抜いたシャフトだけのクラブや、軽い素振り用練習器具)を目一杯のスピードで振れば、速筋が鍛えられるとともに、脳が「速く振る」ことを覚えるのでスピードアップにつながります。

また、スピードをアップさせるには、空気の抵抗を受けるもの(竹ぼうきや、羽根のついた練習器具)を振った後に、普通のクラブを振るのもいいでしょう。

このように、重いもの、抵抗のあるもの、軽いもの、そして、通常のクラブを交互にたくさん振るのです。このとき、ただなんとなく振るのではなく、球を打つつもりで振る、連続で振る、悪い動きを直しながら振るなど、変化をつけることも大切だと思います。

ちなみに、ボクはいま毎日練習の前に20分、この素振りを続けています。やってみるとわかると思いますが、5分間振るだけでも、かなりの体力が必要になります。

ボクと同じだけやるのは大変かもしれません。でも、できる範囲でこの練習を続けていけば、飛距離の低下に歯止めをかけられるので、皆さんもぜひ試してみてください。

STEP 1
重いものを振る

通常のクラブより重いものを振ると、パワーやバランスがアップする。はじめはゆっくりと、重さを感じながら振る。体が温まってきたら、徐々にスピードを速めて振ってみよう(野球のバット・重い素振り用練習器具など)

STEP 2
抵抗のあるものを振る

抵抗のあるクラブは速く振れない。これを振った後で、通常のクラブや軽いクラブを振ると、驚くほどのスピードで振ることができる(竹ぼうき・羽つき練習器具など)

STEP 3
軽いものを振る

重いもの、抵抗のあるものを振った後に、目一杯のスピードで軽いものを振る。すると、脳と体が速く振ることを覚えるので、スピードがアップする(ヘッドを抜いたシャフトだけのクラブ・軽い素振り用練習器具)

月刊ゴルフダイジェスト2022年6月号より

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