【ゴルフの急所】Vol.15「体が回りにくい人は体の中心から回していこう」
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC
よく、トップでは「肩は90度以上回せ」とか、「正面から左の肩甲骨(背中)が見えるくらい回せ」などと言いますが、私は全然体が回りません。どうしたらもっと体をしっかり回せるようになるのでしょうか?
肩を回そうしても体は回らない
まず、「体が回らない」と悩んでいる人にボクが聞くのは、体のどの部分を回そうとしているのか、ということです。
よく、「肩を回しましょう」「左肩をアゴの下に入れましょう」と言うのですが、実は肩を回そうとしているプロなんて誰ひとりとしていません。みんな下半身から動き出し、腰、胸と捻転させていった結果、肩が回り、左肩があごの下に来るだけであって、肩自体を回そうとしているプロなど、どこにもいないのです。
たとえば、イスに座って肩を回してみてください。どんなに体が柔らかい人でも、それほど肩は回らないはずです。また、肩自体を回そうとすると、テークバックで体が下に落ち、回転を阻害するケースも多くなります。つまり、肩を回そうとすると、体というのは回しにくくなってしまうのです。
では、どこを回せば体が回りやすくなるのか。ボクがおすすめしているのは、へその下にある丹田と呼ばれる部位です。丹田を意識しにくいのであれば、腰でも、お腹でもいいのですが、体の中心を右に向けていくことでバックスウィングするのです。体の中心が動けば、他の部位は連動して動きます。その結果、上半身も自然に回るようになるからです。
練習方法としては、トップとバックスウィングを往復するドリルがおすすめ。理想のトップを作ったら、バックスウィングのポジションに戻り、またトップを作って、それを繰り返すのです。
ただ、覚えておいてほしいのは、体を大きく回したからといって飛ぶわけではないということです。パワーの源になるのは、あくまで切り返しでできる、上半身と下半身の捻転差です。上半身がバックスウィング方向に回り切る前に、下半身から動き出す。そのときにできる捻転差が大きいほど、飛距離が出やすくなるのです。
誰もがタイガーやマキロイになれるわけではありません。大事なのは、自分が上げやすいところに上げ、振りやすいところに振ること。そして、切り返しで捻転差を作ることです。体を大きく回すことだけにこだわると、そういう大切なことを忘れやすいので気をつけてください。
いちばん大事なのは切り返しで捻転差を作ること
体の中心が動けば他の部位は連動して動く
動き出す場所はヘソでも、足でも、腰でも、お尻でもいい。自分がいちばん気持ちよく回せる部位を見つけよう。肩自体を回そうとすると、テークバックで体が下に落ち、回転を阻害するケースも多くなる
月刊ゴルフダイジェスト2022年5月号より