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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみてVol.12「ザックリ激減!? クロウグリップ&芯外しアプローチ」

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

前回のお話はこちら

ボクはいろんな球筋を打つのが大好きだが、中でも気に入っているのが「球の勢いを殺す」打ち方。ご存じの方も多いと思うが、この打ち方は、意図的に芯を外して打つ球のことで、スピン量が極端に少なく、ポトリと落ちてトロトロ~と転がっていくのが特徴だ。

一般的にはピンが近い場面で使われるが、こんな素晴らしい球筋を多用しない手はないとボクは思っている。

というのも、ボクはゴルフを始めたばかりの頃、びっくりするくらいアプローチが下手だった。30ヤードから一発で乗ったためしがない、というくらいダフりまくっていた。いい加減嫌気がさし、考えた。

「何が何でも、ダフらない打ち方を考えよう」と。大学2年の春だった。

最初に9番アイアンでパターのように転がすことを覚えた。ヒールを浮かせて、トウで打つこのショットは、接地面積が少ないので、確かにダフリ防止には効果的だ。

ただ、アプローチで9番アイアンを使うのが素人っぽくて嫌だった。素人のくせに……。

そこで試してみたのが、ウェッジを使って上級者の雰囲気を出しつつ、トウで打つという方法。これよくない?


ボクはこの打ち方と出会い一発で好きになった。

ウェッジの芯を外しトウで打つと、球のスピン量が極端に減る(おそらく通常の5分の1程度)。ゆえに、「思いのほか早くスピンがほどけた」とか「バックスピンがかかりすぎた」といった現象が起きないのだ。グリーンが速かろうが遅かろうが関係ない。いつも同じように転がるので、落とし所を定めやすく、極端なショートやオーバーがなくなるのだ。

風に強いところもお気に入りの理由だ。ボクは70ヤードくらいまでこの打ち方で狙うのだが、なんぼ横から風が吹いてもまったく負けず、ジワーっとピンに向かっていくところがいい。

これをマスターすれば、もう芯で打つ必要はないくらいだ(笑)。ただし、芯で打つのが難しいのと同様、わざと芯を外すのも、それなりに難しい。要するに、思ったところで打てないのが、我々アマチュアゴルファーである。ボクも得意技にするまで3年かかった。

試行錯誤しながら得たコツは体をあまり使わず、左手首だけで、ひょいっと上げること。フェースは開かず、めっちゃシャットにするのがおすすめだ。一見、左に行きそうだが、当たり負けして、ちょうどいい具合になるのだ。

実はこの打ち方を体現しやすいのが、クロウグリップ。クロウグリップは右手首の動きが制御されるので、左手手動で上げやすいのだ。

ミケルソンはショートパットを打つとき、クロウグリップで握る。それをアプローチに応用した新打法

そうそう。「球の勢いを殺す」には、もうひとつメリットがあった。それはウェッジの溝が減らないこと。ボクのウェッジはトウにしかキズがついていない。それを見た人は「なんや、先っぽばっかり当たっとるやん」と笑う。けど、それがボクの正解。

アプローチがダフって困る人、一度試してみてくださいませ。


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+2。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2016年12月20日号より