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【リズムを極める】井上透編「なりたいゴルファーのテンポをお手本にしてみよう」

プロはよく、スウィングでは「リズム」が一番大事と言うが、なぜリズムが大事なのか、どんなリズムが理想的なのか、いいリズムを作るにはどうすればいいのか。プロ・アマ問わず指導経験豊富な5人のコーチに話を聞いた。

解説/井上透

アメリカでゴルフ理論を学び、佐藤信人、中嶋常幸、加瀬秀樹など多くのトッププロのコーチを務める。日本におけるプロコーチの草分け的存在

リズムも受け継がれる

自分のレッスンでは「ツアーテンポ」というアプリケーションをスマホにダウンロードして使っています。それを使えば世界共通のテンポ感はだいたいわかります。

リズム、テンポは大事だけれど、大事だからこそ、わかりやすくする方法をティーチングの世界も探っていった結果、そういうアプリケーションが開発されたのです。

リズムのカウントは「1、2」でも「1、2の3」でも正直に言って何でもいいと思います。スウィングの再現性を高めてくれるものだったら、「チャー・シュー・メン」でもいいわけです。


また、どんな時代にジュニア期を過ごしたか、誰に教わったのか、あるいは誰をリスペクトしていたかで、リズム、テンポはある程度決まってしまう傾向があると思います。だから、どんなリズム、テンポがベストかという議論は意味をなさないような気もします。

デビッド・レッドベターは「ワン&ツー」というふうに1と2の間に「&」という間を入れるリズム感を教えていましたけど、その指導を受けたニック・プライスとニック・ファルドのリズム感はまったく違いました。それぞれのジュニア期に形成された、固有のものがあったからだと思うのです。

個人個人のリズム、テンポの確立はゴルフキャリアの初期時代にできていると考えられます。小中学生とか早い時期にゴルフを始めた人はある程度、その時代を代表するトップクラスを無意識に真似してリズム、テンポを獲得していますが、社会人になってこれからゴルフを始めようとする人は、また別のアプローチがあります。

ヘッドスピードが速くないけれど、もっと速くしたいのであれば、速いリズム、テンポの選手を手本にしてもいい。それではどうにも追いつけないと思ったら、女子プロを真似たほうが現実的かもしれません。また、自分のポテンシャルよりあえて遅くすると、振りにくくなってしまうこともある。クラブヘッドがないスティックならいくらでも速く振ることができます。実際にヘッドを装着して、振り切れる範囲で最も重量が重いクラブを選ぶというのに似ている気がします。

アプリを使うと”世界基準“がわかる

井上が使用する「ツアーテンポ」。「多くの選手はこういうテンポ、リズムのなかにいるというのを把握して取り組む。昔は意識的にゆっくり、速く、という教え方もありましたが、今はアプリで、上手い選手はこれぐらいというのを把握できています」

週刊ゴルフダイジェスト2022年3月15日号より