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上げたいけれど芝が薄い…早春の砲台グリーンは“ランニング”で転がし上げる!

砲台グリーンを目の前にすると「ボールを上げなきゃ」と思いがちだが、寒い季節の砲台グリーンは「ランニングがいい」と、篠崎紀夫プロ。平らな場所にワンクッションさせてから斜面を駆け上がらせるランニングアプローチを詳しく解説する。

TEXT/Masato Ideshima PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/常陽CC

解説/篠崎紀夫

1969年生まれ、千葉県出身。シニアツアーで20年は賞金ランキング2位、21年はシーズン3勝を挙げて賞金王に輝いた。所属の北谷津ゴルフガーデンで磨いた小技の上手さに定評がある

斜面に当てようとするから寄らない

砲台グリーンのアプローチは通常ならフワッと高い球を打ちたくなるが、早春の時期はグリーン面も硬く、キャリーで落とすと止まらないことも考えられる。そこで活用したいのがランニングだ。

「この時期は芝が薄くて地面も硬いので、グリーンにキャリーさせるような柔らかく高い球を打つのはかなりリスキーです。そうなると手前にワンクッションという考えになりますが、砲台の斜面にワンクッションさせる方法だとなかなか距離感を合わせるのが難しい。理由は斜面の角度や硬さによって、跳ね方が変わるからです。要は球への影響がどれくらいあるのか計算しにくい。ワンクッションではなく、もっと手前の平らな場所にファーストバウンドを落として転がし上げると、距離感は合いやすいし、少なくとも大ミスにはなりません」


ファーストバウンドは平らな場所に

斜面にワンクッションさせようとすると、斜面にどれくらいの角度と球の強さで当てなければならないかなど、考えることが多くなる。斜面より手前の平らな場所に落とせば、ボールが前に行く力が強く、斜面を駆け上がらせることができる

転がす打ち方のポイント1
ボール位置

転がすために、まずはボール位置を右足の前にセット。この段階でロフトが立ち、低く転がせるアドレスが完成。軌道としてはダウンブローだが、変に手先で打ち込まないこと。アドレス時のボールの先にもう一つボールがあると想定して、それを打つつもりで振る

転がす打ち方のポイント2
目線

最初にどこにボールを落としたいかを決めたら、そこに対してアドレスを作る。目線も低くし、落とす場所に集中する

転がす打ち方のポイント3
右手のひらを下に向けてインパクト

アドレスでロフトが立った状態を作り、それをさらに立てながら打つ。ポイントは右手のひらを下に向けるようにインパクトすること。ヘッドが低く長く出るので、ボールを一瞬押すことができて、前に行く力を強めてくれる

篠崎紀夫のお手本スウィング

状況別・砲台攻略法

ピン位置によって距離をコントロールする際に振り幅を変えるのはなかなか難しい。そこで効果的なのはボールの回転で打ち分ける方法だ。

「ピンまで距離があって、少し球足の長いボールを打ちたいときは、フック回転で転がし上げます。打ち方は変えずにフォローのヘッドの抜き方を変えるだけ。フック回転は少しインサイドアウト。反対にスライス回転は左ひじを抜いてカット気味に打つ。加えて、距離があるときはロフトが立っているクラブに持ち替えるのも、シンプルで効果的な方法です」

【状況1】ピンが遠い
PWでフック回転

ボールが落ちてから多少左に曲がりながら転がるため、ターゲットをやや右に設定する。インサイドからヘッドを入れることよりも、フォローを外側に抜くことを先に考えると、自然にインサイドに上がってインサイドから下ろせる。フック回転を打とうとして手首を変にこねようとせずに、フォローの位置を意識する

手首を固定せずに、柔らかく使ってヘッドをインサイドアウトに抜いていく。右手にできたコックは、フォローでもほどかないようにしている

【状況2】ピンが近い
SWでスライス回転

エッジからピンが近いときなどはボールの勢いをある程度抑えたいので、スライス回転をつける打ち方にする。インパクト後に少し左ひじを背中側に引くだけで、軌道がややアウトサイドインになりスライス回転がかかる。フォローでフェース面を返さないのがポイント。グリーン奥からのアプローチで傾斜が下りのときにも使いたい技だ

【状況3】ラフ
AWで直線的に

枯れてはいるがラフはボールの飛び方に影響を与えるので、入射角度を少し鋭角にしてボールに対して直線的にコンタクトする。また、この場合はある程度のキャリーとワンクッション後に前に行く力が欲しいので、クラブはSWよりもAWを使って、ラフに食われるのを防ぎたい

手前のラフに食われるのである程度のキャリーが必要。この場合、ピンに寄せることよりも乗せることを優先して、そのためのボールの落とし場所をしっかり決める

月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より