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【浦ゼミナール】Vol.24「30Y・45Y・60Y…アプローチの距離感は“フォロー”で考えればカンタン!」

身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、飛ばしのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第24回は、アプローチで距離をコントロールする方法について。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

振り幅で調節すればスウィングはゆるまない

――前回、アプローチの基本的な打ち方についてお聞きしましたが、今回も引き続きアプローチについて。浦さんはアプローチの距離感を何で作っていますか?

浦 ずいぶんとアバウトな質問ですね(笑)。いろんなもので作っていますよ。スウィングの振り幅、球の高さ、スピンの入れ方等々。

――そうか、そうですよね。ではそのなかでアマチュアが基準とするべきものは何だとお考えですか。

浦 基本はやっぱり振り幅です。もちろん実際にコースで打つときはいろいろアレンジするのですが、「ここまで振ればこれだけ飛ぶ」という基準を持っておいて損はありません。私の場合、サンドウェッジで腰まで振って30ヤード、胸まで振って45ヤード 、肩まで振って60ヤードというのが、まぁだいたいの目安になってはいます。

――なるほど。アマチュアもこの基準を3つくらい作っておけば大丈夫でしょうか?


腰、胸、肩の3つの振り幅の飛距離を基準にしよう

アプローチの距離感の基準となるのはフィニッシュでの手元の高さ。浦さんは、腰、胸、肩の3つの高さを基準にし、それぞれ何ヤードキャリーするかを知ることが距離感作りの第一歩だと言う。浦さんの場合は腰で30ヤード、胸で45ヤード、肩で60ヤードとのこと

 そうですね。40ヤードだったら胸よりちょっとだけ抑えめに、65ヤード なら肩より少し大きく、という感じで増減できますから、これでだいたいの距離は打ち分けられるはずです。おっと、でも勘違いしないでください! この「振り幅」はバックスウィングの大きさじゃありませんよ。フィニッシュの大きさです。バックスウィングを「どこまで上げるか」ではなく「どこまで振るか」で距離は決まるんです。

――どうしてバックスウィングではなくフォローの大きさなんですか?

浦 バックスウィングを大きく上げてもダウンスウィングからインパクトでゆるむことは多々ありますし、小さく上げてもガツンと強くインパクトして飛ばすこともできてしまう。でも決めたフィニッシュで止めるようにスウィングするとそれはできません。所定の位置にピタッと収まるためには、ヘッドスピードは自ずと決まる。バックスウィングが大きくても小さくても、肩まで振るスウィングは60ヤード だし、腰の位置に収めれば30ヤードしか飛びません。だからバックスウィングをどこまで上げようとか考える必要もないんです。

――フィニッシュの位置さえ決めれば、バックスウィングの大きさは勝手に決まるというわけですね。

浦 もちろんこれは、以前コントロールショットの話のときに説明した「アクセルコントロール」でスウィングすることが大前提です。スウィングにブレーキをかけて目指したフィニッシュに急停止するのではなく、アクセルワークだけで目指したところに止まるような動き。プロゴルファーのアプローチを見ていると、みんなフィニッシュはスーッと減速してフェードアウトするような収まり方をしているはず。これはブレーキを踏まずにアクセルの加減だけでスウィングし、目指すフィニッシュに収めているからです。あとはこれに、距離を抑えるためのアレンジをいろいろと施すことで距離をコントロールします。

いちばん飛ばない番手をさらに飛ばさない技!

――距離を抑えるためのアレンジというと、どういうことでしょうか?

浦 ちょっとした打ち方のコツやクラブの扱い方で、同じ振り幅で距離を増減させるテクニックがあります。とくにアプローチでは、飛距離を抑える技術が大事なんです。

――具体的にはどんな技術ですか?

浦 まずはフェースを開くこと。ロフトが増えるぶん飛距離が落ちて高い球になる。アマチュアにはフェースを開くのが苦手な人が多いですが、これは距離の調節のために必須の技術ですのでぜひ身につけてください。

――フェースを開いて打つのは難しく感じるんですよねえ……。

浦 フェースを開いても普通に打つことが大事。フェースを開いたうえに、さらに球を上げようとかスウィングで距離を抑えようとするから失敗する。「右に飛びそう」と感じる人も多いようですが、前回も説明したようにフェースを開いたら構えをハンドダウンにすれば右に飛ぶ心配はありません。また、フェースを開くと視覚的にボールに当たる面積が狭くなるので恐怖感を覚える人もいますが、そのへんも慣れてもらうしかないので練習してください(笑)。これは言い換えればロフトのコンロトール。いちばんロフトが多いウェッジをさらにロフトを増やして飛ばなくするためにはフェースを開くしかないので、重要な技術なんです。

「フェースを開くか番手を替えれば距離は変わる」

――では、反対に少し飛ばしたいときは番手を上げる?

浦 もちろん。さっきの「腰、胸、肩」の3つの振り幅をPW、AW、SWの3本で打ち分けたらそれだけで9種類の距離が打てるわけです。ただ「肩」よりも飛ばしたいとなるとフルショットの範疇になってくるので、普段のアプローチではそれほど多用する機会は少ないはず。実際にアプローチで番手を上げるときというのは、飛距離の調節よりも球の高さを変えたいとき、転がしたいときのほうが多いですよね。アマチュアを見ていると、転がしたい場面なのにあまり思い切って番手を上げられず中途半端になることが多いですが、私はアプローチで6番アイアンくらいまで普通に使います。もっと柔軟に考えるべきです。

――6番ですか! 距離感が出せない感じがします。

 それは使ったことがないから。機会を見つけて積極的に使っていけばすぐ慣れますよ。 それから距離を抑えたいときのとっておきの技をお教えしましょう。

――ぜひお願いします!

浦 左手の親指を下に押し下げながらアプローチしてみてください。左手で押し下げるテンションをかけ、右手でそれを支えて振る。これで低く長いフォローを出すように打つと、バックスピンがかかって、飛ばなくなります。簡単だけど有効な技なので、ぜひ練習してください。

Point
飛ばしたくないときは左親指を押し下げる!

左手の親指をサムダウンするように押し下げ、右手でそれを支えるテンションをかけながらアプローチすると、ボールの勢いが薄れバックスピンがかかり、球が飛ばなくなる。フォローを低く出していくのがポイントだ

左手首を小指方向に曲げる感じになるので若干ハンドアップ気味になる。フォローもそのままヘッドを低く保とう

浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

月刊ゴルフダイジェスト2022年2月号より