ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第25回は、青木翔コーチとのラウンドレッスン最終回。練習と同じく着実にレベルアップしていく大畑。最終ホールを迎え、青木コーチとの勝負の行方はいかに……。

ILLUST／Koki Hashimoto　TEXT／SHOTANOW　PHOTO／ARAKISHIN　THANKS／六甲国際パブリックコース

【待ってろ、ウエハラ!】Vol.24　ラウンド中はスウィングの「カタチ」を気にするべからず

---

オレの武器の1つに、自分を信じ抜く力がある。相手がどんなに強くても、試合の展開がどんなに不利でも最後まで気持ちは切らさん。ただの精神論みたいやけどそうじゃなくて、強者を破るジャイアントキリングをするには、自分を信じ抜けるかどうかが勝負の分かれ目になる。「無理だ」って思った瞬間に“目”は閉じられて、勝てるキッカケをつかむことはできなくなってしまう。だから強い気持ちを持って、目を見開いてチャンスのキッカケを探すんや。たとえ他の人間が絶対に無理だと言っても、自分にはできると信じてきた。よく周りから「お前には“根拠のない自信”があるよね」って言われるけど、自分を信じきれば、根拠なんておのずとついてくる。昔からそんな考え方が普通やったから、試合でちょっとくらい劣勢でもヘコたれんかったな。ここまで青木コーチ相手に手も足も出てへんけど、必ず勝つチャンスは来るはずや。最後まで諦めんぞ!

---

奇跡の大逆転はあるのか?

ラウンドレッスンも最終盤。ここまで全ホールで、青木コーチを上回ることができていない大畑。“勝負”を挑んだ手前、引き下がれない“伝説のウイング”は最終ホールのパー4にすべてを懸ける!

大畑　とうとうラストになってしまった。1ホールくらい勝てると思ったけどさすがやね。でもこのホールで1アップ取れればオレの勝ちやからな。

青木　その「1ホールでも取ったら勝ち」っていう謎ルール、まだ残っていたんですね（笑）。

大畑　もちろん。それだけをモチベーションにしてたからね。

青木　そもそも、ラウンドレッスンのはずなのに……。

ティーショットは大畑、青木コーチともにフェアウェイに収まるビッグドライブ。さらにセカンドオナーの大畑氏は、ピン横2メートルにつけるミラクルショットを見せた!

大畑　よっしゃ! ピン位置はバンカー越えの右端で難しかったけど、デッドに狙った甲斐があったな。

青木　ナイスショットです。上原さんとの対決もマッチプレーなので、ミスを恐れないマネジメントは武器になります。何打叩いても失うのは1ダウンだけですから、いけると思った場面ではリスクを恐れずに攻めてください。

大畑　あれだけカップに近かったら、相当なプレッシャーをかけられるやろ。青木コーチもドキドキしてる?

青木　してますね（笑）。生徒や親御さんが読んでいると思うと絶対に外せない。

しかし気負いすぎたのか、青木コーチの打球は左に大きく曲がりグリーンわきのバンカーに入ってしまう。

大畑　オレのショットがプレッシャーとなってしまったか!

青木　悔しいけど否定できない……。次は絶対に寄せねば。

大畑　コーチ、そんなに気負ってるとアカンよ。

入れれば大逆転! 勝負パットの行方は

大畑氏の悪い予感が当たり、青木コーチのバンカーショットは大きくショート。しかし、残り5メートルを見事に沈めてパーで乗り切った!

青木　バンカーショットが目玉だったけど、なんとかリカバリーできました。

大畑　うぅ、さすが天才コーチや。

青木　僕はパー。大畑さんは次の2メートルを沈めればバーディで勝ちです。

大畑　これは一世一代の大チャンス! ここまで耐えてきてようやく大逆転の可能性が見えてきたな。

青木　スコア的には僕の圧勝のはずですが……。

大畑　まぁまぁ、最後は気持ちよく決めたるぞ。

強めに打った大畑のバーディパット。だがボール1つぶん左に抜けてしまい、結果このホール、ドローとなった。

大畑　いやぁ、惜しかった! でもとっても勉強になりました。

青木　こちらこそ、スケールのデカいゴルフを見せてもらって、自分の中での価値観が変わりました。

わずか9ホールで大きな成長を遂げた大畑。次回、「待ってろ、ウエハラ! 特別編」として上原氏との対決の様子をお届け。乞うご期待!

【オオハタ’s MEMO】
チャンスの場面では
とことん全力で攻める!

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より