冬の薄芝、もう怖くない! アイアンの「ダフリ」を防ぐ2つのドリル
この時期、寒さとともにゴルファーを苦しめるのが、薄くなった芝だ。夏場は気持ちよく打てたアイアンも、ダフリが怖くて打てなくなってくる……そんなあなたのためにダフリ防止のドリルをプロに聞いてみた
PHOTO/Shinji Osawa THANKS/松原ゴルフガーデン
解説/武田登行プロ
豊富なアマチュアの指導経験を持ち、理論的なレッスンには定評があるスウィング研究家。松原ゴルフアカデミーのヘッドプロ
クリーンにボールを打とうとすると
余計にダフります
夏場は青々としていたフェアウェイの芝が、寒くなると薄茶に変わる。冬の薄芝を苦手とするゴルファーは多い。とくにダフり癖のあるアマチュアにとっては、アイアンで打つこと自体に恐怖心が生まれる季節だ。
このアマチュアの天敵ともいえる冬の薄芝を攻略するには、どうすればいいのだろうか。ツアー経験に裏打ちされた論理的な指導に定評がある武田登行プロに聞いてみた。
「まずはダフる原因から考えてみましょう。主な原因は3つあります。1つ目は、インパクトで体重が右足に残ってしまうこと。これがいちばん多いと思います」
ダフるのが怖いから、ボールをクリーンに打とうとして、ついついすくい打ちのようになってしまうのだ。
「薄芝でクリーンに打とうとすると体重が右足に残りがちになるので、余計にダフるんです」
【原因1】
体重が右足に残ってしまう
ダフる原因のひとつめは、体重が右足に残ったままインパクトを迎えてしまうこと。体が右に傾き、ヘッド軌道の最下点がボールの手前になるので、ダフってしまうのだ
続いて、2つ目の原因を聞いてみた。
「アドレスで作った前傾角度がスウィング中に崩れてしまうことです。ダフリに悩むアマチュアの方の多くは、トップで上体が起きてしまう。上体が起きると、ダウンスウィングでシャフトが寝てしまうので、ヘッドがインサイドから入りすぎてしまう。これもダフリの大きな原因になります」
【原因2】
前傾角度が崩れてしまう
2つ目の原因は、スウィング中にアドレスで作った前傾角度が崩れること。トップで上体が起きるとダウンスウィングでシャフトが寝て下りてくるので、ダフリの大きな原因になる
3つ目の原因は、「大振り」することだ。
「普段から必要以上に大振りするゴルファーも多いですが、冬場は気温が低く、体も動きづらいのでプロでも夏場よりは飛距離が落ちます。そこを理解していないと、いつもよりも飛んでいないからとついつい大振りになってしまうことがあります。大振りすれば体がブレてしまうので、精度の高いインパクトは望めません。これもダフリの大きな原因になります。トップで右サイドにズレればスウェイになりますし、左サイドにズレると、いわゆるギッタンバッコンのスウィングになります」
【原因3】
大振りして体がブレてしまう
気温が低くくなるとボールは飛ばなくなり、また厚着をすることで体が動きづらくなり飛距離が夏場より落ちる。それを取り戻そうと大振りすることで体がブレてダフリの原因に
まずはこの3つの原因を理解することがダフリ防止の第一歩になるのだ。
「原因を理解したうえで、ダフらないためにはどうすればいいのか。答えは明確で、大振りせずに前傾角度を維持しながら、しっかりと体重を左サイドにかけて、ボールを上からとらえること。つまりダウンブローでボールを打つことになるわけです。冬の薄芝でダウンブローに打つことに恐怖心があるという方もいると思いますが、次頁で紹介するドリルに取り組めば、ダウンブローは身につきます。あとは、薄芝でもしっかりボールを上からとらえる、ほんの少しの勇気があれば大丈夫です」
どうすれば上から入れられる?
ダフリを防ぐ魔法のドリル
ダフリ防止には、ボールを上からとらえることが必要という武田プロに、アマチュアにおすすめのドリルを聞いてみた。
「まずはインパクトの形をあらかじめ作ってから打つ練習法ですが、このドリルをやる前に、ボールを上からとらえるためのインパクトの作り方を覚えましょう」
魔法のドリル1
インパクト“予行演習”打ち
インパクトの形を作る3ステップ
【STEP 1】
左ひざを伸ばし腰を左サイドへ
ダウンブローのインパクトの最初のステップは左ひざを伸ばしながら腰を左へスライドさせること。左足に体重が乗ることを意識しよう
【STEP 2】
左かかとを上げるイメージで腰を回す
左サイドに腰をスライドさせたら左足は小指に、右足は母趾球に体重がかかるように腰を回転させる。左足かかとが少し浮くイメージだ
【STEP 3】
右ひじを内側に絞り右手首を外側に絞る
最後のステップは、ボールを投げるときと同じように、右ひじを内側に絞り、右手首は逆に外側に絞る。この3つのステップで完成だ
もう1つは、ガムテープを使ったドリル。
「ガムテープを5センチぐらいの長さに切り、練習場マットのボールの先(飛球線側)に貼ります。ボールとガムテープとの間隔は、親指1本ぐらい。この状態で、ボールを上からとらえることを意識して打ってみましょう。ヘッドのソールにガムテープが付けば、しっかりと上からとらえられている証拠です」
魔法のドリル2
ガムテープ貼りショット
打った後にガムテープがソールに付けばOK!
ダフらずにボールを上からとらえられれば、写真のようにガムテープはヘッドのソールに付く。結果がすぐにわかるので試してみよう
家にあるガムテープを練習場に持って行けば、すぐにできるこのドリル。特別な器具も必要としないし、効果も高いのでやらない手はない。
「応用編として、ボールの手前にもガムテープを貼ってみましょう。指2本ぶんくらいが目安。こちらは間隔が狭くなるほど難度が増します。これをやるとダフっているかどうかがすぐにわかりますよ」
武田プロが教えてくれたダフリ防止のための2つのドリル。薄芝の恐怖を克服したいなら、ぜひ試してほしい。
週刊ゴルフダイジェスト2022年1月4日号