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【待ってろ、ウエハラ!】Vol.24 ラウンド中はスウィングの「カタチ」を気にするべからず

ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第24回は、前回に続き青木翔コーチのもと、本番力を高めるラウンドレッスン。ティーショットでの待ち時間にスウィングの「カタチ」を気にする大畑。青木コーチいわく、これが失敗の原因らしく……。

ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース

前回のお話はこちら

僕らはいわゆる「見て学ぶ」世代。コーチや先輩が、手取り足取り全部を教えてくれるなんてことはなかった。見るときは「カタチ」に意識がいきがちやけど、大事なのはどう準備しているかとか、どんなイメージでプレーしているかっていうほう。体とか筋肉の大きさが違うと真似できない動きっていうのはどうしてもある。でも、その人がやってる準備やイメージはいくらでも“パクる”ことができるでしょ。とりあえずやってみて、自分に合っていれば取り入れる。なんか違うなって思ったら、また別のとこを見てみる。こんなんを繰り返していくうちにやれることが増えていくし、自分で情報の取捨選択する力も身に付く。ゴルフも同じやけど、なかなか難しいな(笑)。でも、青木コーチっていうパクれる存在を使わない手はない。残りホール、ガン見しまくったるぞ!


気になることが増え始めた

ホールを経るごとに、ショットの狙い方やラインの読みがより上級者のように成熟していく大畑。一方で思い描いた通りにできない歯がゆさも出てきているようで……。

大畑 あー、さっきのミスショット、ちゃんと考えて打ったのにアカンかったな。めちゃイライラする(笑)。

青木 これまでと違って、考えてる情報が増えてきたけど、それがプレーで出せないのが原因ですかね。

大畑 前はラウンドでこんなにいろんなことを考えてなかったから、脳みそがいっぱいになってる(笑)。

青木 トップアスリートの大畑さんには釈迦に説法かもしれませんが、やりたいことがたくさん出てきて、それに対して考えまくっているっていうのは、すごく成長している状態だから、それ自体はグッドです! でも、少し前のショットからちょっと気になってたことがあって……。

大畑 お! また進化のヒントをもらえるの? ありがたい。

青木 ティーショットのとき、体の動きを気にしていましたね。カタチを確認するような感じで素振りしてました。


大畑 さすが、見てますなぁ名コーチ。ドライバーもアイアンもスライスが気になってたから、青木コーチのスウィングを見てどうやったら球をつかまえられるのか考えてたのよ。

青木 他人を見て吸収するのはOKなんですが、ラウンド中にスウィングの形を気にするのはマズいです。

「よっしゃ、“青木ガン見作戦”開始。見て覚えるぞー」(大畑)
「あ、形は真似しなくていいですからね」(青木)「そうなん?」(大畑)

手で弾道を描いてみる

大畑 やっぱりアカンか。どうしてもカタチに目がいってしまう……。

青木 フォームのようなカタチはすぐに思い通りに変えるのが難しいですからね。やっぱり違ったと思って、簡単に元に戻せるものでもないですし。打つ順番を待つときに相手を見るなら、準備の仕方に注目するのがいいです。あとはショットなら球筋、パットなら転がりも参考になりますね。

大畑 球筋か。ただエラい飛ぶなぁ~くらいにしか見てへんかった。

青木 ティーショットでは、相手の弾道を自分の所で重ね合わせてみてもいいかもしれません。手で空間に弾道のイメージを描いてみるんです。そうすると体の動きから意識が離れるし、落としどころも明確になってきます。

大畑 なるほど、それは後に打つほうの特権やね!

青木 多分、上原さんとの飛距離の差は同じくらいだから、弾道のイメージはすごく参考になると思いますよ。

大畑 おぉ、“後の先(ごのせん)”みたいでカッコええな。じゃあここで、青木コーチの弾道をパクるから、はよ打ってみて。

青木コーチのティーショットを見た後に、手で弾道のイメージを描く大畑。直後に打った打球は、ほとんど曲がり幅の同じドローボールだった!

青木 いやいや、そんなすぐできるなんてオカシイでしょ……。本当に僕、いります?

大畑 また天才の片鱗を出してしまった。これも青木コーチのおかげやで。

どちらがコーチかわからない会話を重ねるうち、いよいよ最終ホールにたどり着いた2人。次回、ラウンドレッスン最終回で、まさかのミラクルが起きる!

【オオハタ’s MEMO】
ラウンド中にパクるのは
スウィングよりも球筋のイメージ

令和の武蔵になる!

オオハタダイスケ

大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ

迎え撃つは

ウエハラコウジ

上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月4日号より