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【通勤GD】海老原清治&奥田靖己 もう一花のゴルフVol.19 5×13×3=195。球の種類の話。ゴルフダイジェストWEB

球の打ち分けをするのが上達の早道だと語るふたり。どのような感じで練習すればよいのでしょう。奥田プロはおもむろに、手をパーの形に開いて、話しはじめました。今週の通勤GDは「もう一花のゴルフ」Vol.18

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

海老原清治
千葉生まれ。02年欧州シニアで3勝、賞金王。還暦すぎて飛距離を伸ばす超ベテラン
奥田靖己
大阪生まれ。93年日本OPなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂びを追求する

前回のお話し

コースが要求する
球がある

奥田 先日、須貝(昇)さんが「リンクスでプレーするには目線の高さより上にボールを上げない」というお話をされてました。1本のクラブでもこれぐらい(小指で前方を指し、親指を空に向ける形で手のひら広げる)のバラエティがあって、5個ぐらい高さの打ち分け方をせなあかんということですよね。それに、スライス、フック、ストレートという球筋を加えると、1本で15通りにもなります。

海老原 小指が低い球で親指が高い球ということだね。低いのから高いのまで5段階か。まあ、ウエッジじゃ目線の高さは無理だけど、それに近い感覚はあるよね。

奥田 コースが、そういう球で打ってこいと要求してくるのがわかるから、リンクスでは目線より上にボールを上げないと。

海老原 練習場で育ったプロよりも、ゴルフ場で育ったプロのほうが、そういうのには敏感。須貝もゴルフ場育ちだから、コースが言ってくることがわかるんです。こういうときは、どんなふうにヘッドを入れたほうがいいのかとか、どんなふうにヘッドを抜いていったほうがいいのかとか、いろいろ経験していますから。

奥田 リンクスみたいなところだと、コースが「尋常じゃあかんよ」と言ってくるから、エビさんや須貝さんは、尋常やない球で攻めるんですね。

海老原 コースの要求していることがわかる人は上手くなれます。

奥田 間違いありませんね。

海老原 それがわからない人は、いくら球を打つのが上手くても、ゴルフは上手くなれませんし、それじゃあゴルフが面白くも楽しくもないんじゃないですか。

奥田 コースに対してKY(空気が読めない)やあかんという話やね。僕らがやっているバンド(シニアプロバンド『ゴクローサンズ』)と同じやね。静かなおじいちゃんばっかりがお客のステージでド派手な曲をやってもあかんし、若い人ばかりのところでやるのとは、やっぱり曲目とか雰囲気を変えます(笑)。

海老原 ハハハ。いい球ばかり打っていると、ワンパターンにはまりやすい。そういうところは、コース育ちのほうが、空気が読めます。

「プロは10 本くらい打ち分けるかも……でも皆さんは5 本指ぶんの高さでの打ち分けから。指から球筋をイメージして練習してみましょう」(奥田)

65種類の球筋を操る

奥田 さっき言ってた5本指の高低差の打ち分けなんかも、このコースはどんな攻め方をしろと言っとるのかわからんことには、宝の持ち腐れですからね。もちろん5本の指の間もありますけど、仮に5段階の高さを1本のクラブでできるとして、パターを除く13本全部でそれができたら、5×13やから、65種類や。それをエビさんみたいに2秒で決めるのはすごいです。

海老原 いやいや、高さもあるけど、それにフック、スライス、ストレートと横もあるから、瞬時に判断する球の種類はもっとある(笑)。

奥田 高さの打ち分け、左右の曲がりの打ち分け。それをコースが要求しているものを理解し判断して決めなあかんのですが、それに風にも対応せなならんし、それが組み合わさっているんやから、練習場で真っすぐしか練習していない人にとっては難儀やね(笑)。

海老原 地形と地面の硬さと、それに風の計算です。でもね、その場に立つと、いつでも正解ってわけじゃないけど、自然とどういう球を打たなきゃならないか、すぐにわかります。

コースが要求してくる球を瞬時に判断しないといけないね

奥田 このまえエビさんと須貝さんが言うとったロイヤルカウンティダウン(北アイルランド)みたいな風が強いリンクスコースやったら、そんなんを全部総動員するわけですやろ。

海老原 そうそう。前も話したけど、11番なんかは正面が壁みたいになっていて、フェアウェイが見えないんです。で、右の土手に、バッフィとかクリークを使って低めのちょっとフック系で打つとフェアウェイに出るんです。

奥田 そりゃやっぱり尋常やありませんな。でも、エビさんは、そういうところに行くと「よ~し、やってやろうじゃないか!」という感じになるんですね。

海老原 コースの地形もそうだけど、風に対してもいろいろ打ち方があるでしょ。たとえば左からアゲンストのとき、僕はあんまり風と喧嘩するボールは打ちたないんです。普通は左へ振り抜くんだけど、クラブヘッドをより遠くへ出していくのを意識する。ヘッドの抜き方で、飛距離が違ってきますから。それで、多少は風で流されてもいいや、と考えるんです。カットしてスライスでもいいんですけど、180㍎もあると、それだと距離が足りなくなっちゃうから、僕はあんまりやりません。

奥田 エビさんは、平気でクラブ3番手ぐらい大きいのも持ちはりますけど、小っちゃい番手で打つのもやるんですね。

海老原 上手い人は、右手が動いたとおりにボールが行きやすくなるんです。

奥田 ピンポンのラケットと一緒ですな。

海老原 右手がクラブフェースみたいな感じになるといいよね。

【花咲く一言】
5本指の
“イメトレ”から!

画/伊藤方也

TEXT/Chiharu Kubota

週刊ゴルフダイジェストより

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