【待ってろ、ウエハラ!】Vol.20 下りのロングパットを大ショート! どこがマズかった?
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第20回は、前回に続き青木コーチとのラウンドレッスン。パーオンに成功した大畑だがその距離15メートル。パー発進なるか?
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
一流のスポーツ選手は“バカ”ではなれないって言うでしょ。世界を見てきたオレが言うんだからマチガイナイ。じゃあどんな場面で頭を使うかっていうと、それは変化に対して臨機応変な対応が必要なとき。初めて遭遇するシチュエーションでは、頭を使って的確な判断をしなきゃいけないからね。これは逆もしかりで、賢いだけでも一流にはなれん。どんなふうになるかっていう理屈を知っていても、細胞レベルで対応できないとアカン。体に覚え込ませるっていうアレね。たとえばオレがアツいハートの持ち主だとする。で、試合でテンションが上がることは頭でわかってても、どれくらいゾクゾクするのか、ゾクゾクするとどうなるのかは実際に体験せんとわからん。知っていることと、できることはイコールじゃないからね。知識はイロイロ教わったから、あとはオレの体がどう反応するか。楽しみや!
バーディ狙いがまさかの結果に
ラウンドレッスン、出だしのパー4。ティーショットがまさかのOBだった青木コーチは、前進ティーからの4打目をピンそばへナイスオン。一方の大畑氏は、2オンしたもののピンまで15メートル以上の距離を残す。
大畑 超ロングパットやけど、ここから2打で入れればこのホールはオレの勝ちや。むしろこの1打で入れるくらいのつもりで打ったる。
青木 距離のある下りのラインなので、どの程度下っているのか歩いて確認して……って言おうとしたら、もう打ってるし!
アドバイスを聞く前に、ストロークを開始してしまった大畑氏。下りを気にしすぎたのか、ボールに勢いはなくかなり手前で止まってしまった。
大畑 あぁ、やってもうた! 距離感を合わせたつもりが、大ショート! これじゃパーもキビシイ……。
青木 下りのロングパットは距離感が出しづらいので、判断は冷静にしないと。どれくらい下っているのかを確認してから打つべきでしたね。
大畑 ほんまにその通りやね。打った後に言われるとわかるのに、なんでできんかったんやろ。やっぱり青木コーチのピンそばに付けた1打のプレッシャーがエグかったな。
パットで慎重になりすぎることがある
青木 でもプレッシャーを感じたときのパットで、自分がどうなるかわかったのは収穫です。
大畑 ショットはどんな場面も前へ前へと攻めとるけど、パットは急に繊細になるんやなオレ。
青木 練習のときも、1メートルくらいの距離になると、かなりラインを気にしてましたよね。
大畑 バレてたか……。最後の入れるって段階になると“ちゃんとやらなきゃ”みたいな気持ちになる。
青木 ショートパットだって、ガツンと打っていいんですよ! 大畑さんは自分のプレースタイルを崩さないほうが、良いパフォーマンスを発揮できるタイプなので。
大畑 でも、さっきのロングパットも入れようと思って打ったけど。
青木 その気持ちはOKです。でも、下りという「状況」だけ見て判断してしまった。判断するには「状況」と「程度」を知るのが大事。どのくらいの下りなのかという「程度」がわかっていれば、いつもの神タッチを見せられたと思いますよ。
大畑 判断ミスが、得意の神タッチを封印してしまったのか。オレとしたことが……。
青木 上原さんとの対決は、初めてプレーするコースかもしれない。だから、今のような「程度」の判断がカギです。
大畑 初めてのコースに、上原のプレッシャー。不確定要素が満載やけどやるっきゃないな。
大畑氏は残りの5メートルを2パットで沈め、ボギー。一方の青木コーチは、1パットでこちらもボギーとなった。
大畑 ティーショット打ち終わった時点では優位やったのに、引き分けか。次こそ取ったるぞ!
青木はショートパットをきっちり決める。「こんなもんです」(青木)
どこまでもポジティブな大畑氏だったが、続くティーショットは左の林へ。このピンチをどう脱するのか⁉
【オオハタ’s MEMO】
ただ「下り」ではなく
「どのくらい下りか」まで見ておこう
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年12月7日号より