【待ってろ、ウエハラ!】Vol.19 「ピン狙い」と「センター狙い」最短ルートはどっち?
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第19回は、前回に続き青木コーチと本番力を高めるラウンドレッスン。いきなりOBの青木コーチに先制パンチを食らわせることができるのか!?
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
本番力アップのために青木コーチにラウンドレッスンをお願いしてみたけど、ラウンドってことは勝負やろ。やるからには絶対勝ちたい。この前までレッスンを受けたこともない月イチゴルファーが、バリバリのコーチに真剣勝負を挑むなんてアホやと思うでしょ。でも、そんなことやってみないとわからない。負けたとしても課題が見えてくる。奇跡的に1ホールでも勝っちゃったら、それはそれで自信になる。つまり、このラウンドは得るものしかないってことやね。というわけで、どう転んだってこのラウンドはオレがおいしいんやけど、青木コーチはそういうわけにはいかん。そんなプレッシャービームを発信したせいか、ティーショットを失敗してくれた。しかもオレはナイスショット。これはいきなりのチャンス到来。先制パンチくらわしたる!
セカンドショットはグリーンオンしたが
出だしのパー4。大畑のプレッシャーと突然の応援団の登場でリズムが狂ったのか、青木コーチのティーショットはまさかのOB。一方の大畑は、フェアウェイ右サイドの好位置からパーオンを狙う。
大畑 相手がミスしたときこそ気を抜いたらアカン。ピン位置はグリーン右端でちょっと難しそうやけど、ピンの根元狙いやね!
青木 優位に立っているんだから、こういう場面ではグリーンセンター狙いって言おうと思ったのに……。
青木コーチの助言を聞く間もなく放った大畑のセカンドショットは、横長のグリーン左奥にオンする。
大畑 ピンの反対側に乗っかってしまった……。だけど2オンできたし、まだまだチャンスや。
青木 今のようにフェアウェイ右サイドからグリーンの右端を狙うショットは、かなり難易度が高いです。縦の距離感も求められるので、左サイド以外はかなりシビアになる。
大畑 たしかにけっこうドキドキしたわ。
青木 今のショットはフックして左奥に乗りましたが、グリーン真ん中を狙えばプレッシャーを軽くできたので、もう少しピンに近づけられたかもしれません。
大畑 なるほど。いい意味で結果論をすぐに振り返れるのは、ラウンドレッスンならではやね。オモシロイ!
まさかの“前進4打”から形勢を逆転
青木 僕はOBだったので、フェアウェイ真ん中の前進ティーからですね……。
そそくさとショットに移った青木コーチだったが、放たれたボールはピンの根元につける面目躍如の1打となった!
大畑 スゴい、さすがやね。大人げないくらい上手い!
青木 それ褒めてないでしょ(笑)。僕は今、グリーンセンターを向きました。そして球筋はフェード。曲がればピンに近づくし、もし曲がりが浅くてもグリーンセンターに残る。
大畑 なるほど。あまりにサッと打ったから、このホールはあきらめたのかと思っていたけど。
青木 ティーショットのOBは確かに悔やまれますが、取り返せないので、打った後はセカンドをどうするかずっと考えていました。ショット後に次のプレーに集中する癖がつけば、OBで気持ちが切れてしまうこともなくなると思いますよ。
大畑 なんとクレバーな! でも、経験豊富な上原もこんな感じやろな。というか、気づけばオレには15メートルのパットが残って、青木コーチは次を入れたらボギー。なんか立場逆転してない?
青木 マッチプレーは気持ちが切れたほうが負けです。途中で勝ったと思ってもダメだし、負けたと思って諦めてもダメ。相手がいる以上、常にチャンスもピンチも転がっていますから。
大畑 オレとしたことが、舞い上がってしまった。何としても次のロングパットを決めてやる。
「OBの後は次の一打に集中しました」(青木)
「結果ベタピンか…… 」(大畑)
1ホール目から実力の差を見せる青木コーチ。大畑は食い下がれるのか?
【オオハタ’s MEMO】
グリーンセンター狙いは
逃げでも遠回りでもない
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年11月30日号より