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【ショートゲーム】AWでは足りないPWではデカすぎる。ビトウィーンの距離どう打つの?

ドライバーをかっ飛ばしたあとの第2打。いいところからピンを狙えると思ったら、なぜかPWとAWの中間距離! う~ん、PWだと奥まで突っ込みそうだし、AWだともしかしたら届かない? 鈴木プロ、どうしたらいいか、教えてくださ~い!

鈴木亨プロ
すずきとおる。1966年生まれ。岐阜県出身。長年、ツアーの中心選手として活躍し、レギュラー8勝、シニア3勝。ドローボールはいまも健在。ミズノ所属

間の距離の打ち方は?

たとえば鈴木プロの場合……

PWが130㍎
AWが112㍎
その差18㍎もあるぞ!

「僕の場合は、120㍎あたりにキャリーさせるときですね。PWを抑えるか、AWを飛ばすか。みなさんもAWとPWの差は10~15㍎くらいあるはず。その番手間をどう埋めるか、の大切な話です」(鈴木)

PWのスピードを落として抑える(左)AWのロフトを立てて飛ばす(右)

【番手選びの法則】
次のショットが
やさしくなる番手を選ぶ

GD チャンスホールに限って、AWとPWの中間距離! どちらで打てばいいんでしょう?

鈴木 PWかAWかで迷うような短いホールは、だいたいグリーン周りにハザードが待ち構えています。ですから同じ残り距離でも、どこに打っていけば次のショットがやさしくなるか、ハザードとピン位置で判断するんです。たとえば、グリーン手前に池があって、ピンも手前なら何をいちばん警戒します?

GD それはもう、池ポチャ!

鈴木 そうです。だから絶対に池に入れないように大きめに打つのが正解です。そのため、PWを抑えて打つ選択をします。

GD では、ピンが奥なら?

鈴木 一般的な受けグリーンだとしたら、もしグリーンをオーバーすると、下りの難しいアプローチが残ります。ですから、絶対にピンをオーバーしないように、AWで少し距離を出すショットを選ぶんです。

たとえばAWで95㍎、PWで110㍎の人がいたとして……

安全に攻めるならPWかAWかよ~く考えてくださいね

【ケース①手前ピン】
池を避けてPWで大きめに打つ

「絶対に避けたいのは、ぎりぎりを狙って池に入れることです。イチかバチかのショットなら別ですが、通常の流れであれば、PWの距離を少し抑えて、グリーン真ん中くらいを狙うのが正解です」(鈴木)

【ケース②奥ピン】
奥に外すと寄らないAWでピンの手前を狙う

「一般的な受けグリーンなら、奥ピンでオーバーさせると、難しい下りのアプローチが残ります。この場合は、AWでピン手前の広いエリアを狙います。うまく距離をプラスできたらピンまで届く計算です」

【ケース③右ピン 左ピン】
右ピンにはPW、左ピンならAWが寄りやすい

「中間距離の場合、PWは距離を抑えるため右にいきやすく、AWはより距離を出していくため左にいきやすくなります。もし、番手選びに迷ったら、右ピンはPW、左ピンはAWがセオリーです」

【ケース④おわん型グリーン】
手前ピンはAWでショートめに、奥ピンはPWでオーバーめに打つ

「真ん中が高くなっている“おわん型”のグリーンで、外からも寄せやすい状況なら、グリーンを外れたエリアも含めて狙うのが正解。グリーンに乗らなくても、やさしい上りのアプローチが残る計算です」

【ケース⑤傾斜ライ】
左足上がりはPW、左足下がりはAWでピッタリ

「傾斜に逆らわずに打てば、左足上がりはインパクトでロフトが寝やすくなります。そのため、PWを選べば自然に距離が落ちて中間距離をカバーできます。左足下がりはその逆で、ロフトが立つため、AWを選べばOKです」

(左)自然に距離が落ちる、(右)自然に距離が出る

【どう打つの?】
短く持って
耳までフィニッシュ

GD PWかAWか、番手選びのコツがわかったところで、PWの打ち方をお願いします。

鈴木 PWで距離を抑えるには、ヘッドスピードを落とすのがいちばん簡単。PWを短く持って、ライン出しショットのようにコンパクトにフィニッシュします。振り幅を小さくしても、しっかり振ることで、正確に距離を落とすことができますよ。

GD フィニッシュで、手が左耳のあたりで収まりますね。

鈴木 そうですか? あまり意識してませんでしたが……。

GD 左耳まで振る、っていう感じでしょうか?

鈴木 スウィングや柔軟性によって人それぞれ違うので、自分がピタッとくるフィニッシュ位置を探すといいですよ。

5つのポイント

【ポイント①】
コンパクトにフィニッシュする

「PWのヘッドスピードを下げて距離を抑えるために、スウィングをコンパクトにします。だいたいグリップが頭の横の位置になるくらいでフィニッシュすればOK。僕の場合、この打ち方でキャリーを約10㍎落としています」(鈴木)

【ポイント②】
指1本ぶんクラブを短く握る

「フルショットのときより指1本ぶん短く握ります。もっと短く握ってもいいですが、握った感触が変わるため、おすすめはこのくらい。短く握ることで、コンパクトに振るぞ、と意識づける働きもあります」

【ポイント③】
軌道をなぞるように等速でスウィングする

「フルショットは、ヘッドを加速させながら振っていきますが、距離を抑えるときは、ヘッドのリリースを抑えて、バックスウィングの軌道をなぞるように等速で振っていくイメージです」

等速で振るイメージ

【ポイント④】
胸の面を回してスウィングする

「PWで距離を落とすと、右へのミスが出やすいですが、これを防ぐには、胸の面をしっかりターンさせることが大切。体を止めて手をリリースしたり、手だけで振ると、正確なコントロールショットはできません」

胸をちゃんと回します

手先で振るとミスします

【ポイント⑤】
10時→2時でスウィングする

「トップもフィニッシュもコンパクトになります。時計の針でいうと、10時から2時くらいの感覚。スウィング自体はゆるめずに、クラブが体の正面から外れないようにしっかり振り抜きます」

振り幅は10時から2時まで!

【AWの飛ばし】
まさにインテンショナル
フライヤー打法

GD では、次にAWで少し距離を出す方法を教えてください。

鈴木 PWで距離を抑えるときはスピードを落としましたが、AWで距離を出すときは打点を変えるんです。

GD え~、打点ですか……。

鈴木 そうです。溝2本ぶんくらい上に当てて、いわゆる厚めの当たりにして飛ばすんですよ。

GD 厚い当たりにする?

鈴木 右手でヘッドを押し込んでいって、少しハンドファーストにインパクトします。こうすると、ロフトも立って、少しだけ打点が高くなります。

GD すると飛ぶ?

鈴木 インテンショナルにフライヤーをかける打ち方に近いんですが、こうすると、少しバックスピン量が減って、ロフトも立っているので、キャリーが伸びて、バックスピンで戻る距離が短くなるんです。アマチュアの方で言えば、グリーンに落ちてから少し前に転がる弾道になるかもしれませんね。

GD なるほど。それ、いい弾道ですね。

鈴木 ただし、ちょっと難しいですよ。でも、この打ち方をマスターできたら、攻め方の幅が確実に増えることだけは間違いありません。

4つのポイント

【ポイント①】
溝2本ぶん厚めにボールをとらえる

「僕の場合、下から3本目の溝あたりが通常のショットの打点ですが、少し飛ばすときは5本目の溝あたりで打ちます。当たりを厚くするんです。バックスピン量が少し減るため、5~10㍎くらいキャリーが増えて、グリーンに落ちてからスピンで戻る距離が短くなります」(鈴木)

【ポイント②】
右手でヘッドを押し込んでいく

「打点を高く、厚い当たりにするには、右手でヘッドを押し込む動きが必要です。いつものショットよりインパクトを長くするような感覚で、右手を低く、長く、押し込んでいきます」

【ポイント③】
ロフトを立ててインパクトする

「右手を低く押し込むと、ハンドファーストの形が強まり、ロフトが立った状態でインパクトすることができます。これも、いつもよりキャリーを出すことにつながります」

いつものインパクト

距離を出すときのインパクト

【ポイント④】
ターフが厚く取れるのが正解

「スウィング的にはほとんど変わりませんが、インパクトでハンドファーストを少し大きくして、厚めにボールとコンタクトするため、いつものショットより厚いターフが取れます。スウィングのスピード、大きさも同じです」

ターフ、多め!

【ラフからどう打つ?】
芝ごとズバ~ッ!

GD 最後はラフからの打ち方です。脱出優先のヘビーラフではなくて、グリーンを狙っていける短いラフの場合です。

鈴木 ボールとフェースの間に芝がはさまってバックスピンが減るので、グリーン上で止まりにくいですね。フェアウェイから打つより自然と距離が出るので、使うクラブはAWです。ヘッドを上から入れずに、手前の芝ごと飛ばすつもりで振り抜くことです。実際に打つ前に、近くのラフで芝の抵抗を確かめておくことも忘れずに。

【ポイント①】
ボール2個ぶん芝を刈り取る

「だいたいボール1個ぶん手前の芝を刈り取るつもりで打ちます。手前にもう1個ボールがあると想像して、そのボールもいっしょに打つイメージでもいいかもしれません。上から打ち込むとヘッドが抜けませんよ」(鈴木)

【ポイント②】
グリップをしっかり握る

「フェアウェイと違って、ラフは芝の抵抗があるので、グリップはしっかり握ります。そうしないと、インパクトでヘッドがクルッと開いてしまうことがあります」

【ポイント③】
フィニッシュまで一気に振り抜く

「フェアウェイからはダウンブローにボールの先のターフを取りますが、ラフからは手前の芝ごとレベルに振るイメージ。フィニッシュまで一気に振り抜きます」

PHOTO/Yasuo Masuda

週刊GD8月11日号より

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