フェアウェイウッドが大事なところでチョロばかり!「払い打とう」としすぎていませんか?
パー5のセカンドや、ティショットをミスしたあとの挽回ショットなど、距離を稼ぎたい場面で握るフェアウェイウッド。しかし、そんなときに限ってチョロしてしまい「アイアンを握っておけばよかった」と後悔することもしばしば。忌まわしいフェアウェイウッドのミスは、どうすれば防ぐことができるのか。ミスの原因と対処法を教えてもらった。
PHOTO/Shinji Osawa THANKS/松原ゴルフガーデン
解説/武田登行
豊富なアマチュアの指導経験を持ち、理論的なレッスンには定評があるスウィング研究家。松原ゴルフアカデミーのヘッドプロ
FWが苦手な人は
トップのケースが多い
テレビでトーナメント中継を見ていると、パー5の2打目でフェアウェイウッド(FW)を手にしたプロが鮮やかに2オンに成功し、イーグルを奪うシーンを目にすることがある。一度でいいからこんなプレーがしてみたいと、キャディバッグのなかに3Wや5Wを入れてはいるものの、過去に2オンを狙ってチョロしたなんてトラウマがあると、なかなかコースで手にすることができず、いつの間にかバッグのお飾りに……というゴルファーは多いことだろう。
「FWに苦手意識があるゴルファーは多いですね。実はそんな方には共通点があるのですが、それはトップのミスが多いということです」というのはツアー経験に裏付けされた理論的なレッスンに定評がある武田登行プロだ。
確かに自分のプレーを思い返せば、FWを持ったときにトップばかりしている気がする。
「実は、FWはトップしやすいクラブといえます。まずはクラブが長いのにドライバーほどヘッドは大きくありませんからミート率が悪くなります。しかもドライバーはティーアップして打ちますが、FWは芝の上から打つことが多いので、打点のブレに対する許容性はあまりない。さらにヘッドが軽いのでダウンスウィングで下方向に働く力がアイアンやウェッジよりも小さくなります。加えてクラブが長いことで遠心力も強くなりますから前傾角度が崩れやすい。これらすべてが、ヘッドがクラブに届きにくくなる=トップする原因なんですね」
FWはもともとトップしやすいクラブだったのだ。
「さらにFWは飛距離が出るクラブなので、飛ばしたい意識が強くなり上体が起きやすく、結果が気になるのでヘッドアップもしやすい。これもインパクトで左肩が上がる原因になるので、ヘッドがボールに届かなくなります。またFWは払って打てといわれることが多く、その意識が強くなりすぎるとインパクトで体重が右足に残ることになる。これもトップする原因になります」
FWがトップしやすいのには、これだけの理由があったのだ
【トップしやすい理由1】
クラブが長い
FWはドライバーの次に長いクラブだが、ドライバーほどヘッドが大きくないので、長さを感じやすい。当然、ミート率も下がってしまう
【トップしやすい理由2】
アイアンに比べて軽い
FWのヘッドはアイアンやウェッジに比べると軽く、「ダウンスウィングで下方向の力が掛かりにくい。これもトップの原因に」(武田)
【トップしやすい理由3】
上体が起き上がりやすい
クラブが長くなれば、それだけスウィング中の遠心力は大きくなるので、アドレス時の前傾角度を維持するのが難しくなり、トップしやすい
【トップしやすい理由4】
ヘッドアップしやすい
FWは飛距離が出るクラブだけに、結果が気になったり、飛ばしたい意識が強くなり、ヘッドアップしやすい。これもトップしやすい大きな原因
【トップしやすい理由5】
「払う」意識が邪魔をする
「FWは払って打つ」といわれるが、その意識が強すぎるとインパクトで体重が右足に残りすぎることになり、ヘッドがボールに届かなくなる
短く握って、ターフを取る
つもりで打ってみよう
FWに苦手意識を持つ人はトップすることが多いという武田プロ。では、その苦手意識を解消するにはどうすればいいのだろうか。ポイントは2つだけと武田プロは言う。
「最初のポイントは、クラブを短めに握ることです。これだけでトップする原因の多くを封印することができます。短く握ることによってミート率が上がります。さらに遠心力が減るので、クラブをコントロールしやすくなり、前傾角度も崩れにくくなる。前頁で紹介したFWがトップしやすい理由の多くを、短く握ることによって封印できるのです」
FWの難しさはクラブが長いことに起因する。であれば、短く握ることによって解決されることは多く、慣れてくれば徐々に長めに握るようにすればいいのだ。
「2つめのポイントは、『ターフを取るイメージ』でインパクトすることです」
これも当然のことだ。FWはトップすることが多いのだから、ダウンブロー気味に打てば、トップしにくくなるという理屈だ。でもFWは払って打つべきクラブではないのだろうか。
「FWはレベルに振って打つというのは間違いではありません。しかし、その意識が強すぎることでトップが出ているのだとしたら、ターフを取るつもりで振ってみようということです。FWに苦手意識を持っている人は一旦、払って打つということは忘れてください。それだけで、苦手意識克服の扉が開けてくるはずです。ただし注意してほしいのが、フォローの形です。ヘッドを上からぶつけようとすると手首をこねたり、逆に右手首の角度を維持しすぎたりする人がいますが、これでは上手く打てません。インパクトでは左腕とシャフトが一直線になり、フォローでは右腕とシャフトが一直線になることを意識してください。最初はハーフスウィングでボールを打ってみましょう。フォローで止めて右腕とシャフトが一直線になるかをチェックしてみてください」
さらに武田プロはとっておきのドリルを教えてくれた。
「ボールの飛球線側にガムテームを貼って打ってみてください。ターフを取るように打てれば、ヘッドのソールにガムテープがくっ付きます。試してみてください」
【Point 1】
短めに握る
短く握ることで、ヘッド速度が落ち、ヘッドが外側に引っ張られる力が弱まるので、クラブを操りやすくなる。それにより、ミート率が向上するとともに、前傾がキープしやすくなる
【Point 2】
ターフを取っていくイメージ
「FWは払って打つ」とよく言われ、それ自体は間違いではないが、苦手意識がありトップばかりするのであれば、一旦その意識は捨てて、「ターフを取る」つもりで打ってみることが苦手克服の最短ルートだ
【ココに注意1】
フォローで右腕とシャフトを一直線にする
「ターフを取る」イメージで振るとヘッドをボールにぶつけにいきがちだが、その際に手首をこねたり、右手首の角度を維持しすぎることがある。フォローで右腕とシャフトが一直線になるように振ってみることが大切だ
【ココに注意2】
左足のつま先を浮かさない
トップするのはヘッドがボールに届いていないということだが、左足の指が浮いてしまうと体重がかかと側に掛かってヘッドが届かなくなる。左足の小指側で体重を受け止め、踏ん張ることを意識しよう
FWの苦手を解消する3つのドリル
【Drill 1】
フォロー止めハーフショット
武田プロが教えてくれた最初のドリルは、ハーフショットでフォローを止めて打つこと。フォローでは右腕とシャフトが一直線になっているかどうかをチェック。これができていないと、フォローで止めることはできないはずだ
【Drill 2】
ボール前方にガムテープ
2つめのドリルはボールの飛球線側にガムテームを貼って打つドリル。ターフを取る意識でしっかりとインパクトすることができれば、ガムテープがヘッドのソールにくっつく。効果がわかりやすいおすすめのドリルだ
【Drill 3】
左足の外側に置いた球を打つ
最後はボール位置を極端に左に寄せて打つドリルだ。左足の外側の延長線上に置いてみよう。慣れないとトップしか出ないので、トップ防止には最適のドリル。ボールを極端に遠くに置いても同じ効果があるので試してみよう
週刊ゴルフダイジェスト2021年11月5日号より