【待ってろ、ウエハラ!】Vol.11 ヒヨコを握らなくても分かる! ザックリしないグリップの力感
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第11回は、前回に引き続きメジャーチャンプコーチ青木翔が“攻め”のアプローチを本気レッスン!
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
ラウンド中にメンタルが崩壊するのは、やっぱりティーショットのOB。飛距離が出るっていうアドバンテージがあるのに、それを生かしきれないどころかマイナスになってしまうってのはやっぱり辛い。特に前のホール、パーセーブできて勢いづいている場面でのOBは、本当に凹む。それをやっちゃうと、ホールアウトまでモチベーションが回復することないもんね(笑)。でも逆のパターンもあるんじゃないのか? って考えた。たとえばグリーンオンを狙える位置から乗せられずに外してしまったとき。モッタイナイ! って思ってまあまあ凹むけど、そこからアプローチでカップに寄せられれば、逆に勢いがつきそう! それなら心が折れないためのミスしないアプローチ、習得したろ。待ってろ上原!
カップが近いと力みやすい
前回、力を弱めて距離を調整して寄せていたという大畑に対して、小さく構えてしっかり振るように助言した青木翔コーチ。これを“攻めのアプローチ”と名付け、まずは大畑の食わず嫌いを直す作戦だったが……。
大畑 アプローチでもドライバーと同じく前に前にちょっとでもカップに近づけるというオレ流スタイルでやれればストレスがない。構えを小さくしたら、アプローチでもこんなにしっかり振ってエエんやね。
青木 スタンスを狭く、グリップは短くして小さなアドレスを作れば、飛びすぎが怖くなくなりゆるむことなく打てますからね。
大畑 短い距離はチマチマしててオレ向きじゃないと思ってたけど、グリーン周りも楽しみになってきた。
テンションの上がる大畑だったが、新しいアドレスで打っていくうちに、またザックリやトップのミスが出始めた。早くも攻めのアプローチに穴が見つかってしまったのか?
大畑 構えは大きくしてないはずなのになんでやろ?
青木 カップが近くにあるんで、入れてやろうって思って打つたびに力みが強くなっていますね。
大畑 うぅ。でもこの前のめりの気持ちだけは抑えることはできん。
青木 気持ちはそのままでOKです(笑)。力が入るときには、入れやすい場所に入ってしまうんです。
大畑 つまり、手?
青木 そうです。手首から先はとても器用なので、力が入りやすい。
大畑 よくヒヨコを握るようにと聞くけど、飼育係じゃなかったからな。オレは学級委員長だから!
V字のすき間を埋める
青木 ヒヨコはあくまでたとえの1つなんですが……。でも大丈夫。学級委員長でもできる方法を教えます。キーワードは“すき間”。クラブを握るとき、両手の人差し指と親指の間にできるV字部分のすき間を締めてください。
大畑 親指をちょっと反らす感じにするとすき間が空かなくなる。でも、ムッチャゆるくて持ちにくい。こんなん絶対に打たれへん!
これまでとはまったく違う握り方に戸惑う大畑氏。だがそのグラグラした手元のまま打ったアプローチは、きれいにボールを拾い見事なピッチエンドランに。
大畑 うぉ! 全然力入らないのに、なんかちゃんと打ててる。
青木 力が入っていないから、ミスにならないんです!
その後、何球か繰り返すが、いずれもミスなく、うまくボールを拾っていく大畑氏。
大畑 なんか気持ち悪いけど、結果はバッチリやね。
青木 グリップは少しでも変えると違和感が出るものです。でも、練習すれば慣れるはずですよ。
大畑 人差し指と親指の間のV字が、どうして力みと関係あるんやろ?
青木 力むときっていうのは、指でグリップをギュッと握ってしまってる状態。V字のすき間を締めることを意識すると、この指の握りを抑えられます。手の平をグリップにピタッとつけるイメージを持つとより良くなりますよ。
大畑 何球打っても、ザックリもトップも全然出ない。これでグリーン周りは完全攻略や!
「これじゃあ打たれへん」と言って周囲のハードルを下げ、絶妙なピッチアンドランを繰り出す大畑。手元グラグラアプローチ成功!
すっかりアプローチに目覚め、四方八方から寄せまくる大畑氏。しかしある地点に差し掛かったとき、突然トップのミスが出始めてしまう……。
(つづく)
【オオハタ’s MEMO】
力まないためには
親指を反らせてV字を締める
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年10月5日号より