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【脱! カット軌道】<平塚哲二編>下から動くには、切り返しで「伸脚」やってみよう

カット軌道を修正するためには、切り返しで下半身から動き出すことが重要。では、実際に下半身から動き出すためには何を意識すればいいのか。平塚哲二プロに話を聞いた。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Takanori Miki、Hiroaki Arihara THANKS/クラブTsゴルフスクール

解説/平塚哲二

ひらつかてつじ。京都府出身。国内・アジアンツアーともに賞金ランク最高2位を誇る実力派で、日本ツアー通算6勝を挙げる

動かすのではなく
アドレスの状態に戻す

カット軌道を修正する上で「下半身リード」が大事というのは分かったが、頭では理解しても、いざスウィングしてみると、下半身から動き出す感覚をつかむのが難しい。そこで、近年アマチュアへのレッスンも積極的に行っている平塚哲二プロに、下半身リードの感覚をつかむコツを聞いた。

「カット軌道になる人は、上半身に力が入りすぎていて、下半身の動く量が少なくなっているケースが多い。でも、まったく動いてないわけじゃなくて、動きが足りないだけ。まずは、テークバックで大げさなくらい右に乗って、そこからアドレスの形に戻る感覚で切り返してみてください。『動かす』ではなく、元に『戻す』意識を持つと、意外とスムーズに下半身を動かすことができます」

Point 1
切り返しで左ひざをアドレスの状態に戻す

テークバックで十分に右に乗ると、左ひざが必ずいくらか内側に入る。切り返しでは、その左ひざを動いた分だけ戻し、アドレスと同じ状態にする意識を持つと、下半身から動ける

Point 2
テークバックでできるだけ腰を回す

トップから「腰を左に回そう」とするより、バックスウィングで右に回した腰を「元の位置まで戻そう」とするほうが、動きをイメージしやすく、スムーズに動きやすくなる。バックスウィングで腰をしっかりと回す意識が大切だ

下から動く感覚は
伸脚のイメージ

右足の「伸脚」で左ひざを曲げる際、無意識に重心は元の位置に保たれる。頭を残したインパクトと感覚が近い

「下半身から動く」という感覚を、それができないアマチュアにどう伝えるか。悩みに悩んで、平塚プロがたどり着いた答えは、「伸脚」だった。

「準備運動なんかでよくやる、片方ずつ足を伸ばす体操が『伸脚』ですが、右足を伸ばして左ひざを曲げる動きが、切り返しの左への踏み込みにすごく似ていることに気づいたんです。この運動のいいところは、左の太ももに体重が乗りつつも、上体まで一緒に左に突っ込まないことです。つまり、頭(重心)を右に残して踏み込む感覚がわかる。上体から動いてカット軌道になる人は、そもそも『左太ももに乗る』感覚がゼロに近いですが、『伸脚』をすると感覚をつかめて、だんだん下半身から動けるようになってきます」と平塚プロ。このときに注意するポイントとしては、「ダウンスウィングで右腰が低くなる人が多いですが、腰は水平のままか、むしろ左腰を低くするぐらいの感覚で踏み込むといいです」(平塚)。

【注意1】
右腰を下げない

左に踏み込んでいく際には、左右の腰の高さをそろえることが大事。右腰が下がってしまうと、左に体重が乗っていかない

【注意2】
左腰をスライドさせすぎない

腰のスライド量が多くなるほど、左太ももに加わる力が逃げてしまう。いちばん力が加わるのは、足裏で真っすぐ踏み込んだ状態

Drill
トップで止まってから振り下ろす

静止したトップから振ると、自然に下半身から動き出しやすいが、「伸脚」の感覚を足すと、さらに効果が高まる

下半身が動く簡単ストレッチ!

下半身から動くのが難しいのは、何もスウィングだけが原因ではない。女子ツアーに帯同している重野聖トレーナーは「普段意識しない部分だから、動かすのが難しいんです」と話す。

「下半身を動かすうえで考えるべきは骨盤と股関節。このふたつは連動していて、お尻が下がると骨盤は下がり(後傾)、連動して太ももが開く方向に動きます。すると、股関節が内側へ動きにくくなります。ゴルフでは、この状態の方がとても多く、下半身の動きが制限されているので、必然的に上半身の動きが強くなってしまうわけです」(重野)

だからといって、骨盤が前傾していればいいかというとそういうわけでもない。

「骨盤には“いいポジション”があり、その位置を保つことで、動きが制限されなくなり、自分のポテンシャルを100%発揮できるようになります。まずは骨盤が“いいポジション”に保てるようにしましょう。そうすれば、動きやすくなりますよ」

ストレッチ1
イスを使って骨盤を前後に動かす

まずは「骨盤が動く」ことを体感。軽くイスに腰かけ、背中を丸めながらお尻を下げて骨盤を後傾させる。その状態から今度はお尻も持ち上げるように前傾させる。10往復が目安

ストレッチ2
前傾を作りながら立ち上がる

イスに腰をかけた状態から体を前傾させ、足裏とももにテンションがかかる位置でキープ。そこから勢いをつけずに立ち上がると骨盤を“いいポジション”にキープできる

ストレッチ3
片ひざをついて太ももを伸ばす

筋肉を伸ばすことも骨盤を動かすうえで重要。ももの筋肉をほぐすことで股関節が動きやすくなり、腰を伸ばすことで骨盤が動きやすくなる

ストレッチ4
足をクロスさせてお尻を伸ばす

前側を伸ばしたら仕上げは後ろのお尻を伸ばす。足をクロスさせて腕でひざを抑え、胸のほうへ近づけるように動かすとお尻が伸びる。左右10秒程度やってみよう

月刊ゴルフダイジェスト2021年11月号より