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【通勤GD】時松隆光プロを育てた異次元打法「みんなの桜美式」Vol.33 トラブルショットの感覚で打つ。 ゴルフダイジェストWEB

今週の通勤GDは「みんなの桜美式」Vol.33。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ向学者
たけひさ先生
篠塚武久・73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信

前回のお話し

トラブルショットは
本来の動きになる

GD 「デジタルスウィング」、徐々に理解が進んできました。シャフトを「振る」ことと、ヘッドが「当たる」こととを、まずは役割を分けて考えるわけですね。

篠塚 シャフトを「振る」ことだけに限定すれば、ゴルフがいかに簡単になるか、その考えをさらに深めていきましょう。ゴルフクラブは、タテのシャフトのみならず、ヨコに突き出たヘッドがあり、タテとヨコとを混同してしまうから、体の動きも曖昧にさせられてきた。しかし、シャフトを「振る」だけなら、誰も迷ったりせず、体の動きも実にシンプルになる。たとえば、ラウンド中に球が深いラフに入ってしまったときやつま先上がりの斜面に球が止まったとき。何より、トラブルショットのときのアマチュアのスウィングは、見ていると誰もがとてもシンプルです。

GD 確かにトラブルショットのときには、なるべく余計な動きはせず、コンパクトに「振る」ことだけを考えているかもしれません。

篠塚 そう、トラブルショットは、人間本来の自然な動きに近い。なぜなら、危機から球を脱出させるというメインの目的があるから、体のねじり具合、トップの位置や各関節の角度、ヘッドをどう返すか、といった、レッスンで植え付けられたこれまでの常識が、脳裏から吹っ飛んでしまうから。林の中からのパンチショットを見てください。どこにクラブを上げたらいいのか、どのくらい真っすぐに引いたらいいのか、そんなことは考えていない。誰もがサッと、コンパクトにテークバックしますよね。体は極力ねじらず、手でフェースローテーションもさせず、本当に素直にシャフトという棒を「振る」だけになる。

GD そういうときは、ミートしやすく、当たったときの感触は何ともいえず気持ちいいですね。

篠塚 その気持ちよさは、脳が自然と感じ取っていること。体をねじる動きをさせられ、腕も返してフェースローテーションさせられ、そうして打っている普段のショットが、いかに難しく、複雑か。それに比べればパンチショットは、その不自然さが“自然に”軽減するから、球を飛ばす快感がある。各部位の位置や角度といった体の動き中心ではなく、ただ単に、握った棒を「振る」。普段のスウィングも、トラブルショットと同じ意識で打てれば、ゴルフなんて簡単だし、気持ちいいことの連続です。

「クラブには、タテのシャフトとヨコのヘッドがある。これらを分離し、ヘッドだけ別物と脳から消し去る。シャフトを“振る”ことさえできれば、ヘッドが勝手に回って当たってくれるイメージ。ジュニアはいとも簡単にやってのけます」

道具主体に
コンパクトに振る

GD とはいえ、普段のショット、たとえばドライバーの場合、体のねじりやフェースローテーションがなければ、やっぱり飛ばないような気がしてしまうんです……。

篠塚 それは誤解です。体をねじってターンさせ、ヘッドも扇状にターンさせなければならないというのは、パーシモン時代に作られた、100年以上前の古い常識です。現代の道具は、そんな非効率なことをしなくとも、気持ちよく「振る」ことさえできれば飛んでしまうように設計されている。ましてやアマチュアなら、10~20Y飛距離を伸ばすことより、球を飛ばす方向性を狂わせないことのほうがスコアメークにはるかに大切なはず。ただし、どんなにクラブの素材や設計が改良されようともタテのシャフトと、ヨコのヘッド、というクラブの構造上の矛盾は、解決できてはいない。そこで、「くるくるヘッド」です。シャフトとヘッドを分離し、ヘッドだけ別物と脳から消し去ってしまう。シャフトを「振る」ことさえできれば、ヘッドが勝手に回って当たってくれるイメージです。

GD それこそ、トラブルショットのときのようにシンプルに?

篠塚 そうです! 試しに、ひざのあたりまである高いティに置かれた球を打ってみましょう。これだけ高いと、体をねじってフェースローテーションしてヘッドで「当てよう」などと思えば、まったく当たりません。古い常識にとらわれたままの大人が振っても、まず球を真っすぐ飛ばすことができない。ところが、「桜美式」のジュニアたちは、「当てよう」などという意識が普段からない。ましてや「くるくるヘッド」のイメージで、脳からヘッドが消えてシャフトを「振る」だけだから、こんなに高いティでも、何度でも、鮮やかに、球を真っすぐに飛ばせます。やってみてください。体主体ではなく、道具主体で、コンパクトに振るのがコツですよ。

GD なるほど! 棒を振るだけで、あとはヘッドが仕事をしてくれる……。この話は、先生がいろいろな道具を使って、いろいろな方法で説明してくれますが、やはり、イメージとやってみることで、少しずつ体が理解する感じです。

篠塚 ジュニアは、この高いティを使い「くるくるヘッド」で球を打つと、ものの見事に百発百中で真っすぐ飛ばします。それは、曲芸などではないんです。古い常識を捨ててイメージを変えるだけ。みなさんも、トラブルショットの素直さを思い出し、普段のショットもシンプルな「デジタルスウィング」に変えてみてはいかがでしょうか。

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