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高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.57 バンカーは本性をむき出せ!

高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」。第57話は「行儀よくやってたまたま寄ってもそれじゃ意味がない」というお話――。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。

志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

本性=感性

高松 全体的なショットはだいぶスケ番になってきたけど、アマチュアFさんのバンカーショット、まだ本性がまったく出てないな。だから砂が爆発せん。本性は結構ええもん持ってると思うから、それを出したらええんやけどな。一級品のスケ番の本性を。

奥田 僕にはFさんの本性がどんなか分かりませんけど、どんな人でもある意味、一番本性むき出しで打たないかんのはバンカーですからね。

高松 バンカーはなんや知らんけど昔からたくさん決まり事がある。オープンスタンスにして、足場固めて、アウトサイドイン軌道でみたいなことがまことしやかにいわれてるやろ。

奥田 でも、そんな決まり事に意味がないと、いい加減気つくべきですよね。だって、ほとんどの人がちゃんと出てないんやから。

高松 バンカーなんてただ球をパッと一瞬見て、本性むき出しにして思い切りバーンと打つのが一番ええの。行儀よくしておしとやかに振ってる場合ちゃうで。そんなんじゃ砂も爆発せんから球が飛ばない。

奥田 本性を隠して、行儀よく細かいことやって、たまたまピンに寄ったとしても、それじゃ意味ないですしね。合わせようとしてる限りは、バンカーは覚えないんです。

高松 そのへんが一般のアマチュアには理解しずらいやろうな。説明したら、本性むき出しにしてバンカーで大ミスこいたとするやろ。ライとかピンポジションとか状況はその場面でいろいろ違うから、大ダフリすることもあれば大オーバーもする。そうしたときに本性むき出しでやったからこそ、「あ、こういうところではちょっと控えめにいかなあかんな」とか、そういうことが覚えられる。

奥田 ほんまですね。バンカーは本性むき出しを基準にして、そこから修正していくもんですからね。それでこそスウィングに柔らかさも出てくるし、大きくテークバックするから軽くも打てるということが分かってくる。

高松 そうやね。本性いうんはある意味感性でもある。だから本性でやることで、感性も磨かれるいうことや。

奥田 逆に感性に頼ることを覚えてしまえば、バンカーなんてそない難しくないいうことです。

高松 あと、バンカーが苦手やいう人の練習法として、昔からよういわれてる砂の上に線を引いて、その線にヘッドがちゃんと入れられるかどうかというのがあるやろ。結局、練習はあれに尽きるな。

奥田 あれに優るもんはないですわね。毎日線引いてそこに向かってポンポン素振りできたらかなり変わります。

高松 その線の先にヘッドが入るようにしてな。そしたらだんだんヘッドがつねに線の手前に入らず、同じ位置に、同じ深さで入るようになる。

奥田 あとは上手い人のバンカーショットを見て、バーンと振るその感じが分かったらええですね。「バンカーって結構振るんやな」とか、そういう雰囲気を感じるのがやっぱり一番ええですね。

高松 そうそう。活字やなしに大事なのはその本性のバーンや。