メジャーチャンプコーチ青木翔の「笑顔のレシピ」Vol.17 試合は、成長のきっかけを与えてくれる場所
メジャーチャンプ渋野日向子を育てた青木翔に“コーチング”のこだわりを語ってもらう本連載。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!
解説/青木翔
あおきしょう。1983年3月28日生まれ、福岡県出身。大学を卒業後、プロを目指すも27歳のときに指導者の道を志す。2012年に自身のアカデミー「ASGA」を設立。渋野日向子をはじめ、数々のツアープロや全国トップレベルのアマチュアゴルファーを育成
長所を把握し
それを磨く
しぶこは初めて出場するレギュラーツアーで結果を出せずにいたときがありました。1戦目となったPRGRレディスでは6位タイとかなりいいスタートを切れたのですが、その後の3戦はすべてオーバーパーフィニッシュ。
まぁ、ツアールーキーですし、「1年間は試合に慣れること」を目標としていたので、想定内ではありました。
指導者や親の立場からすると、試合(本番)で結果が出ないのは、不安かもしれません。でも僕は、結果が出ずにもがき苦しんでいる選手を見ると「いいぞ、いいぞ。がんばれ!」と思ってしまいます。それは試合というのが、学びの場であり、きっかけを与えてくれるものだからです。
スポーツでは、飛躍的に成績が伸びた選手に「覚醒した」という表現を用いますが、まさに試合は覚醒を生む場です。生まれる条件は、選手が自分の長所を把握しそれを使って成果を得ること。
武器として持っていた長所を使いこなせるようになったとき、能力のフタがパッカーンと開け放たれて覚醒します。よく切れる包丁を持っていたとしても、みね側を使っていたら切れませんよね?
だからコーチは長所を把握し、それを磨かせておくのです。そして選手が試合で、使い方を習得するのを待つ。それが覚醒を生むのです。長所を把握して磨き込み、あとは信じて待ちましょう。
TEXT/SHOTANOW
PHOTO/ARAKISHIN
週刊GDより