ザックリ知らず! ソールが滑る! アプローチは「肩を開いて打つ」が正解です
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/ GDO茅ヶ崎ゴルフリンクス
ショートゲームの色々な打ち方を研究してきて、“100通りの技を持つ”という伊澤プロ。その中で発見した“いちばんやさしいアプローチ”は、「肩を開いて」打つのだという。詳しく聞いてみた。
解説/伊澤秀憲
ジュニアレッスンの傍ら多彩なアプローチを「伊澤秀憲のガッツTV」で披露している。叔父は伊澤利光。神奈川県出身の29歳
アドレスで肩を回しておけば
手打ちが防げる
グリーン周りでのダフリやトップがなくならない人のために、特別に簡単なアプローチを教えてくれるという伊澤プロ。ポイントは肩を開いて打つということらしい。
「アマチュアのみなさんはインパクトで肩はスクエアって思っていませんか? でも肩を開かないで止めちゃうから手を出して打つしかなくなって、ミスが出てしまうんです。肩を回せば手を使わなくて済むからミスになりませんよ」
手を使って打つなというのはよく言われるが、それが簡単に実現できる方法ということなのだ。でも肩が開いて当たると球は左に飛んでしまうのでは……?
「だからアドレスで開いておくんです。スクエアに構えて開いて打つと左に飛ぶけど、開いて構えて開いて打てば真っすぐ飛びます。要は、開いて打つインパクトを再現したアドレスということです。だいたい45度くらい肩を開くイメージでいいと思います」
アドレスのポイント1
足は少しオープンで肩は45度オープン
アドレスのポイント2
ボールの近くに立つ
つま先からボールまでは20cmくらい。近く立ったぶんクラブは短く持ってクラブを少し吊るような感覚。ボールから離れて立つとクラブ軌道がイン・トゥ・インになって打点がブレやすい。近く立てばストレート軌道になって打点が安定する
ボールの近くに立つと
手首の余計な動きを抑えられる
コックを使う手首のタテの動きは、ヘッドがボール手前に落ちるリスクがある。近く立ってヘッドが最初から落ちた状態で構えておけば、そのリスクを減らせる
肩を開いてノーコック
それだけで驚くほどソールが滑った!
肩を開いて構えてコックを使わずに打てば、本当にミスは出なくなる?
「近くに立って肩の回転だけで打てば、必ずソールが滑ってくれるのでミスがミスにならないんです。ヘッドが最初から落ちた状態で構えているから、ヘッドが低い位置で滑りながら動きます。だから物理的にトップは出ないし、多少手前から入ってもボールを拾ってくれて球が前に飛んでくれます。要は“ミスショットのクオリティを上げる”打ち方なんです」
実際に伊澤プロが打つとソールがかなり長い距離を滑っていることがわかる。“ソールを滑らせて打つ”というのはよく聞くことだが、本当にここまで滑っているアプローチは取材陣も見たことがなかった。
「ソールを滑らせるって自分でやろうとしても手を前に出したりしてしまいがちで、それもミスのもとです。でもこの打ち方なら意識しなくても結果的に勝手に滑ってくれるんです。ダフろうとしてもダフれないと思えるから、グリーン周りが怖くなくなりますよ」
ストロークのポイント1
肩の回転だけを意識する
よく「腰を回して打て」と言われるが、腰は回そうとしても回りにくい。肩を回せば腰は自然とついてくる
ストロークのポイント2
軌道は真っすぐ、真っすぐ
伊澤流アプローチ<正面>
伊澤流アプローチ<後方>
アプローチはヘッドを上から?
それが大きな勘違いです
球をクリーンに打つためにはヘッドを上から入れないといけないと思っている人も多いが、それがミスのもと。横から払い打てればミスが出ない
ミスの原因は急加速・急減速
肩の回転なら等速で振れる
「アプローチでミスする原因のひとつに、リズムの乱れがあります。切り返しから急にスピードが速くなったり、インパクトで急に減速したりする人が多いんです。これは、当てにいこうとして手を使ってしまうから起こるんです」
そういえば伊澤プロのリズムは一定だし、ゆっくり振っているように見える。
「手を使わないで肩の回転だけで打つから、ヘッドが等速で振れるんです。だからゆっくり振ってるように見えるし、球も強く飛ばない。結果、距離感が合わせやすいんです。ピンが近いときはSWで打てばロフト通りにポーンと上がるし、ピンが奥なら5Iで打てばコロコロ転がる。基本的に打ち方は同じでクラブを換えるだけでいいんです。さらに球を上げたいときは右肩を下げて打ちます」
<応用編>
球を上げたいときは右肩を下げながら回す
球を上げるポイント1
切り返しから右肩を下げる
球を上げるポイント2
手元を少しだけ中に入れておく
通常のアプローチでは手元は左ももの前だが、少し中に入れておくとさらに球が上がりやすくなる。フェースを開かなくても十分上がる
月刊ゴルフダイジェスト2021年7月号より