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【バレルスウィング大研究】<後編> 右のお尻を使った「ヒップヘンジ」で体を高速回転

大谷翔平をはじめ、現在野球界で主流となっている打ち方が「バレルスウィング」。日本で早くからバレルスウィングを指導に取り入れている根鈴雄次氏のもとへ、バレルの要素をゴルフに応用することを探求している植村啓太コーチが話を聞きに行った。

TEXT/SHOTANOW PHOTO/Tadashi Anezaki、Getty Images

植村啓太 うえむら・けいた。ツアープロコーチとして現在はLIVに参戦中の浅地洋佑、池村寛世などを指導する。1年ほど前からバレルスウィングを研究
根鈴雄次 ねれい・ゆうじ。野球コーチ。日本におけるバレルスウィング指導の先駆者的存在として、2018年頃からプロアマ問わず多くの選手を指導。横浜市にて根鈴道場を主宰

>>前編はこちら

小さく細い選手も飛ばせる理由

植村 バレルスウィングは大谷選手のように大きくて手足の長い人が向くのかと思っていたんですが、そうじゃない選手もダウンスウィングがとんでもなく速かったです。先述のホアキン・ニーマンがその代表格でした。

根鈴 大リーグでもムーキー・ベッツのように小柄でもバレルスウィングで飛ばしている選手がいます。それはお尻の筋肉を上手に使っているから。

植村 腕から先を使ってヘッドを走らせるより、お尻のほうが絶対的な筋肉量が多いですもんね。

根鈴 はい、比べものになりません。いくら腕をビュンビュン振ってもお尻が生み出すパワーにはかなわないんですよ。アメリカでは「ヒップヒンジ」というように表現されますが、右のお尻を入れ込むようにして上体を回す。思い切りやるとバランスが取れず足の位置が変わってしまいますが、それでOK。
まずは力の出し方を覚えてからボールにアジャストする形を覚えていけばいいので。

植村 繰り返すとかなりお尻がキツイ……。

根鈴 ナイスな使い方です。


Point 1
右のお尻で体をぶん回す


右足1本で立ち、ジャンプと同時に上体を回転させる。右ひざを曲げすぎないのがポイントで、フォローにかけて左足が後ろ側に引かれるように動いてもOK

お尻の筋肉を意識するには“鳥のポーズ”

日常ではなかなか意識しづらいお尻の筋肉だが、片足立ちを長く続けるにはこの臀部を使うのが必須。ひざを曲げずに後ろ足を大きく上げる鳥のポーズを1分間続けると、臀部の筋肉がイメージしやすい

Point 2
トップを一段高くするとさらに加速

お尻の筋肉に加えて重力を使うことでさらにヘッドを加速させることができるため、手元の位置は高いのが理想。体から離れた位置からダウンスウィングで引き寄せるため求心力も大きくなる

ヒップヒンジを使えれば、軸足側だけで立っていても重たいバットを高速で振り下ろしてダイナミックに振り切ることが可能。ボールに当てることを無視すればこれほどまでに力が出るという好例

手と体をなるべく近くに置きたい

植村 バレルスウィングをしている選手の特徴として、インパクトでひじが曲がってることが挙げられると思います。

根鈴 特に下側になるひじ。ダウンスウィングですごい力が出るのでこれを逃したくない。だから右肩をボールに近づけて手元と体が近い状態を作っておきたいんです。

植村 これくらい手を使わなければフェース面の管理もしやすく、左右のミスが減りますね。これまでよりフェースがボールを向いている時間が長くキープできると思います。

根鈴 野球もこのほうが芯がボール軌道に乗っている時間が長いので、ジャストミートの確率が上がるんですよ。

植村 「肩を回す」という意識をやめて、「落とす」と考えるとやりやすいですね。

Point 1
右肩をボールに近づけ手と体を離さない

インパクトでは右肩が時計の6時、左肩が時計の12時を指すように縦になる。そうすることで腕が伸び切らずに体の回転の力を逃がすことなくボールに伝えヘッドを押し込むことができる

Point 2
肩の上下運動で地面を突く! “回す”意識は不要

スウィング中は常に両肩が上下逆の動きをする。ダウンスウィングで右肩を落とすように使うとインパクトでボールを押し込むことができる。胸の真ん中を中心にうねらせるように動かす

Point 3
右手の甲を目標に向けるぐらいのイメージ


少し極端な形ではあるが、インパクトでは右手の甲を目標に向ける感じ(根鈴コーチは左打ちのため左手)。手のひらで押し込む力は弱いが、手の甲をひっくり返して使うくらいの意識があると上半身でボールを押し込め、さらにスウェイしない形を作ることができるという

右わきの空間に
“あそび”を持たせる

植村 野球でバレルスウィングをしている選手は右わきを大きく開けている人が多いという印象です。

根鈴 わきを開けておくと、その空間でひじを動かしやすくなるので外角・内角のコースの対応がしやすいんですよ。

植村 ゴルフだと球筋の打ち分けにつながる動きですね。上の写真のようにダウンスウィング時の右ひじの動かし方でドローとフェードのヘッド軌道を作ることができます。腕をほとんど使わないバレルスウィングでも、ここで操作できるんですね。

根鈴 トップで手元やわきを脱力して“あそび”を設けておくと、動かしやすくなります。

植村 ただ、いずれもインパクトでは手と体の位置は近いままですね。変えるのはあくまでひじの向きだけ。

根鈴 手を返したり腕を伸ばすのはミスやロスにつながるエラー動作なのでNGです。


“内角打ち”のように右ひじを腰に向けるとフェード

ダウンスウィングで右ひじが腰を向くとフェードの軌道になる。ひじは体につかないが、腕を伸ばすわけではないため手元は体の近くにある。野球の内角球を打つのと同じ形

“外角打ち”のように右ひじをへそに向けるとドロー

ダウンスウィングで右ひじをおへそに向けるように畳むと、ヘッドはインサイドから下りてくるのでドローになる。野球の外角球を打ちにいくのと同じ形

週刊ゴルフダイジェスト2026年4月14日号より