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【阿久津未来也の飛距離アップ術】「中学生時代のスランプを15年間引きずっていました」<前編>

阿久津未来也の初優勝の要因のひとつに飛距離アップがある。シード5年目のプロが飛距離を大幅に伸ばすことは容易ではないはずだ。じっくりと語ってもらった

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/日本シリーズJTカップ

阿久津未来也 あくつ・みきや。2歳半からゴルフを始め日本大学4年時に「日本学生」優勝、翌17年プロテスト合格。21年に初のシード獲得すると、昨年初優勝を果たす。2026年、JGTO選手会の会長に就任。栃木県出身

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恩師と親との別れが
転機となった

阿久津未来也の初打ちはなんと2歳半の時。小学生時代は無敵だったというから熱心な英才教育の賜物なのかと思いきや、ご両親はゴルフにはノータッチだったという。

「石川先生っていうんですけど、祖母が連れて行ってくれていた練習場の常連のオジサンが、僕のゴルフの育ての親という感じです。毎日練習を見てくれて、試合の送り迎えもしてくれていました」 

阿久津のゴルフ人生に欠かせない存在の恩師だ。

「中学1年でスランプと反抗期も重なって、練習に行かなくなりました。でも石川先生はそのとき何も言わずに僕の好きにさせてくれたんです。1年も経つとゴルフのない生活が物足りなくなって再開しました」 

ところが阿久津が高校1年のとき、その石川先生が交通事故で亡くなってしまった。

「石川先生のためにも、今後はゴルフを一生続けようと決心しました」 

恩師を失ったことを転機にゴルフへの意識が高まり、成績を出せない時期も黙々と練習に励んだ。そして大学4年時に日本学生で優勝し、卒業した年にプロテストに合格。するとその年の12月、新人戦の数日前に父親が病死してしまう。

「新人戦出場は悩みましたが父に背中を押された気がして、練習ラウンドなしのぶっつけ本番で挑んだら優勝しました。そしてその日が石川先生の命日だったんです。運命的なものを感じましたね」

別れと出会いを経て成長してきた
トップで止まる“クセ”がついてしまった若い頃に身近な人を2人も亡くしてしまったが、その苦難を乗り越えゴルフに真面目に取り組んだ。その後の片山晋呉、山崎泰宏との出会いによって、技術面が磨かれて昨年の初優勝へとつながった

嫌いだったクセが
気にならなくなった

プロデビューまでに大きな別れを2度経験したが、その後は2度の出会いがあった。シード権に手が届かず、アプローチの実力不足を感じていたときに片山晋呉と同組で回ったのがひとつ目の出会いだ。

「19年のカシオオープンだったんですけど、晋呉さんのアプローチの技術に衝撃を受けました。オフになってから思い切ってSNSのDMで『一緒に練習させてもらえませんか?』ってメッセージを送ってみたんです」 

そのオフから片山の合宿に参加するようになり、片手打ちなどの練習メニューを一緒にこなしていくうちにアプローチの技術が向上。21年に初のシード権を獲得した。しかしスウィングに関してはずっと悩みを抱えていたという。

「シード権は取れたけど優勝するまでの実力はないと感じていました。ショットの再現性が低かったんです。中学生のスランプのときにトップに変な間ができるようになってしまって、そのクセが嫌だったけどずっと取れませんでした」 

コーチを付けて直したいと思っていたときにドラコンプロの山崎泰宏と出会った。

「知り合いの紹介でお話ししたときに、『そのクセは欠点ではないから、直す必要はない。ほかに直したほうがいい部分がある』と言われて、この人に教わりたいと思いました」 

飛距離を伸ばすためにドラコンプロの門を叩いたのかと思われがちだが、そうではなかったのだ。

「山崎さんはPGAツアーの選手などを研究していて知識が豊富だし、運動力学とかも勉強していて僕の知らないことをたくさん教えてくれました。それまでと正反対の動きを取り入れたので優勝まで2年半かかりましたが、再現性とミート率が確実に上がりました。その結果、自然と飛距離も伸びたんです」

片山晋呉の合宿には5年連続参加している。基礎の練習や悪いライからのアプローチなど、ショートゲームを中心に多くのことを学び続けている。「晋呉さんは僕の初優勝をすごく喜んでくれました」

「山崎泰宏さんは
僕の“クセ”は欠点ではない
と言ってくれました」

「山崎さんは“ゴルフオタク”で本当に研究熱心。一緒に目指しているスウィングの完成度はまだ7割くらいなので、今後も成長していきます」

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月刊ゴルフダイジェスト2026年3月号より