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都玲華 パーオン率アップの秘密<後編>右足の“底屈”で右サイドを高くキープ!

昨年プロテストに合格し、今季フル参戦したレギュラーツアーで初シードを獲得した都玲華。コーチの石井忍プロと取り組んだスウィングのテーマが「ゆるやかダウンブロー」。引き続き話を聞いていこう。

PHOTO/Hiroaki Arihara、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki THANKS/エースゴルフクラブ、ジャパンゴルフスクール

解説/石井忍

いしい・しのぶ。1974年生まれ、千葉県出身。日大ゴルフ部を卒業後、1998年にプロ転向。ツアープロを経て指導者となり、プロコーチとして活躍する。2022年より都玲華のコーチングを担当。主宰する「エースゴルフクラブ」ではアマチュアの指導も行っている

解説/都玲華

みやこ・れいか。2004年2月18日生まれ、徳島県出身。生光学園高校卒。昨季、4度目の挑戦でプロテストに合格。LPGA97期生。今季はQTランク53位でツアーデビューし、リランキングで8位にジャンプアップ。現在、メルセデス・ランク48位。大東建託所属

>>前編はこちら

右わきの締まり具合は
“体温計を挟むぐらい”の感覚 

ここからは、ゆるやかダウンブローに必要なキーワードを石井プロに解説してもらおう。まずは右わきの締まりだ。

「アマチュアに多いアウトサイドイン軌道(カット打ち)は右わきが開きますが、これだと入射角は鋭角になるだけです。であれば、右わきを締めたまま振ればいいんです。右わきが締まれば、体と手元が同調し、インサイドからクラブが下ろせます。インサイドアウト軌道=緩やかな入射角になるわけです。 

イメージとしては右わきに体温計を挟んだまま打つ感じです。この体温計というのがミソです。体温計なら強くは締めないはずです。右わきは締めることが大切ですが、締めすぎてもダメなんです。適度な締まりというか、力まない程度の締まりが理想です。力みはスウィングを壊す元凶になりますから。 

この右わきの締まりは、実際にモノを挟んで振れば体感できます。できれば軽いモノがおすすめです。重いモノは力みやすいです。プロがよくやる定番のドリルですね」


右わきが締まると入射角が安定

「右わきが締まると手元と体が同調しやすくなります。こうすると入射角が緩やかになり、いつでも同じ入射角でインパクトできます。右わきは常に締めておく、くらいの意識で練習しましょう」

Drill 1
右わきに棒を挟んで打つ

「右わきに挟むモノは細くて軽いものがいいです。菜箸でもOK。重いモノ、長いモノは余計な力みを生むのでおすすめしません。あとは右わきをキュッと締めたまま打つだけです」

Drill 2
右わきを締めたまま右片手打ち

「右片手打ちはプロの定番ドリルです。振り幅は腰の高さで十分です。最初は左手を右わきの前に当てながら行うと右わきの締まりを意識しやすいです。腕と体を同調させながらボールを運びます」

右つま先を伸ばす“底屈”で
右サイドの高さを保つ

ゆるやかダウンブローの2つ目のキーワードは「右足の蹴り」。この蹴りが入射角に大きく影響すると石井プロ。

「スウィングは円軌道です。ボール位置によってアッパーブローになるか、ダウンブローになるかの違いですが、この円軌道がズレると入射角は不安定になります。簡単に言うと肩のラインはできるだけ水平に保ちたいわけです。この肩のラインを保つために必要なのが右足の蹴りです」 

右足の蹴りは、具体的にどんな動きになるのか?

「手首の掌屈や背屈が注目されましたが、足首にもその動きがあります。そして右足の蹴りで必要なのが底屈。つま先を下げるような動きです。この底屈を使うと右ひざが伸びて右サイドの高さが保てます。ゆるやかダウンブローの仕上げがこの底屈なんです」

足首を伸ばすようにつま先を下げる

「足首はつま先を下げる『底屈』とつま先を持ち上げる『背屈』があります。アマチュアは背屈してしまい入射角が不安定になっています。右足首は底屈させることが重要です」

Drill 3
ハーフウェイダウンから打つ

「ハーフウェイダウンの位置からボールを打つドリルなら、右足の蹴り方がつかめるはずです。右足首の底屈を意識しながら右サイドを高くキープするイメージでボールを打ちましょう」

Drill 4
右つま先でゴムパッドを踏みながら打つ

「ゴム製のパットやバランスディスクなどを右つま先の下に入れ、つま先でしっかり踏みながらボールを打ちます。硬いモノよりは軟らかいモノで、高さがないものが合います」

入射角の安定はメリットいっぱい

石井忍×都玲華が取り組んできたゆるやかダウンブローはパーオン率アップを実現したが、ほかにもメリットがあったという。都本人に聞いた。

「実はドライバーの飛距離が20ヤード以上伸びたんです。入射角がよくなったことで右ペラやダフリは確実に減りましたし、大事な場面でしっかりパーオンできています。練習の成果を実感しています」

石井プロは都の飛距離アップをこう分析する。

「アイアンもドライバーもスウィングのベースは同じですから緩やかな入射角になったことで高さが安定し、飛距離につながったのでしょう」

「ドライバーの飛距離が20Y以上伸びました」(都)

「ゆるやかダウンブローはインパクト効率がよく、再現性も高くなりますが、一番の効果はロフトが安定することです。そうすると高さも安定するわけですが、高さ=飛距離なんです。入射角が安定すれば飛距離は間違いなく伸びますよ」

週刊ゴルフダイジェスト2025年12月2月号より