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【ザックリしないアプローチ】<後編>「右肩を下げて左手を持ち上げる“アッパー軌道”で打ちましょう」

アプローチの悩みで最も多いのが、「ダフリ」「ザックリ」。では、なぜダフリやすいのか? どうすればダフらずに打つことができるのか? 引き続き山本太郎プロに教えてもらおう!

PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/新武蔵丘ゴルフコース

山本太郎 やまもと・たろう。1993年生まれ。和歌山県出身。日大時代は関東学生を制するなどの成績を残し2016年にツアープロ転向。試合に出る傍らで行っているレッスン業も好調で、自身のYouTubeチャンネル『山本太郎ゴルフTV』も人気で

>>前編はこちら

右肩を下げて
アッパーに振り抜く

GD ヘッドを鈍角に入れるというと、すくい打つように感じますが。

山本 そうです、ヘッドはアッパーに動かすんです。

GD アッパーだとなんかトップしそうで怖いので、低く長く動かすイメージではダメですか?

山本 ヘッドを低く長く動かそうとすると手元が体から離れやすくなる。すると手打ちになってヘッド軌道が不安定になり逆にダフリやトップのミスが出ます。体と腕、クラブを連動させて動かすにはアッパーで振る意識でちょうどいいんです。そのほうがヘッドを低く長く動かすよりもフェース面にボールが乗るので、打ち出し角やバックスピン量が常に一定になり距離感も合いやすくなるんです。

GD ではアッパーに振るにはどうすればいいですか。

山本 右肩を下げながら振り下ろすことで入射角を鈍角にします。そして左手をインパクトからフォローにかけて引っ張り上げる感覚で振ります。イメージ的には飛行機が離陸するように緩やかに左手を動かすんです。

GD どうして左手なんですか。

山本 体を左回転してスウィングするため、左腕や左手がクラブをコントロールする役割を担っているからです。


ヘッドの入射角を緩やかにするために、トップから右肩をそのまま下げて振り下ろす。このとき手首の角度が崩れてしまうとダフッてしまうので注意しよう

左足上がり&左足下がりの
ポイントは?

GD ライが傾斜になるとアッパー軌道で打たないですよね。

山本 傾斜でもアッパーで打ちますよ! ただ傾斜の度合いによって出球の角度や距離を考慮してボール位置を少し右足寄りに変化させることはあります。

GD では左足上がりからポイントを教えてください。

山本 左足上がりのポイントはセットアップです。自然に構えるとやや右足体重になりますが、できる範囲で体重配分が均等になるようにしてください。

そして体のタテ軸を傾斜と垂直にします。ボール位置は少し右足寄りになってもかまいません。左足上がりで傾斜に逆らうように構えると、ヘッドが鋭角に入って地面に突き刺さりフォローが出しづらくなるからです。傾斜に対してヘッドを低い位置から入れることで振り抜きがよくなります。また、左足にも体重を乗せておくことでフォローで体が起き上がりにくくなるのでこれも重要なポイントです。

【左足上がり】
左足に体重を乗せ体の軸は右に傾ける

GD 次は左足下がりのポイントを教えてください。

山本 左足下がりのポイントは、『腰は斜面なり・肩は水平』に構えるヨコ軸です。このとき絶対に意識してほしくないことがあります。ボールを上げようとすることです。左足下がりは、インパクトでロフトが自然に立って低く飛び出すので、ボールを上げようとすると体が浮いてダフリやトップが出る原因になるからです。

GD どうして腰と肩のラインは別なのでしょうか。

山本 腰を傾斜なりにするのは、ボールの手前の地面が高くなっているのでそこに当たらないためです。肩のラインを水平にするのは少しでも打ち出し角を確保するためです。肩も傾斜なりにするとヘッドの入射角が鋭角になりすぎるからです。どちらのライでも構え方が変わるだけで、打ち方はフラットのときと同じように左手を下から上に振り上げるアッパーで打つので、そこを理解しておいてください。

【左足下がり】
腰は傾斜なり、肩は水平にする

“引き打ち”ドリルで
アッパーに振る感覚をつかむ

GD アッパー軌道で振れるようになる練習法があれば教えてください。

山本 打ったらすぐにヘッドを引き戻す引き打ちが効果的です。やるとわかりますが、引き戻すことを前提に打つと、ヘッドを鋭角に下ろせないんです。また、この練習をするとハンドファーストにならずヘッドが走っていく感覚がつかめてきます。ヘッドが先行するので必然的にアッパー軌道になります。ヘッドが地面に刺さりにくい軌道が身に付くのでぜひ試してみてください。

打ち終わったらすぐにヘッドを引き戻す。手元が前に出ず、自然とヘッドが先行するようになる

週刊ゴルフダイジェスト2025年11月25日号より